「ひとり、ふたり、さんにん」の謎
夜空の星を数えるときには「ひとつ、ふたつ、みっつ」、
戸棚のレコードを数えるときには「いちまい、にまい、さんまい」、
飲んだコーヒーを数えるときには「いっぱい、にはい、さんばい」。
そんな風に数えるものに合わせて表現が変わるのは日本語の数詞の難しいところ。
ただし「枚」や「杯」の部分はともかく、数そのものの部分は「ひと、ふた、み」という和語系統か「いち、に、さん」という漢語系統のどちらかを使うようになっています。
和語 | ひと | ふた | み |
---|---|---|---|
漢語 | いち | に | さん |
このルールに反するのが、人を数えるときの表現。
「ひとり、ふたり」までは和語系統なのに、「さんにん」から後はどういうわけか漢語系統に切り替わってしまいます。
和語 | ひとり | ふたり | みたり | よたり | いつたり | … |
---|---|---|---|---|---|---|
漢語 | いちにん | ににん | さんにん | よにん | ごにん | … |
調べてみると、昔は「みたり、よたり」という表現もあったようなのですが、いつの間にか使われなくなってしまいました。
一方「いちにん、ににん」の方は「一人前、二人前」などという表現の中に生きています。
なぜ人の数え方だけがこのような組み合わせになってしまったのでしょうか? 謎は深まるばかりです。