間、髪を入れず
何気なく国語辞書を眺めていると、時折「えっ?」と思うような言葉や表現に出会うことがあります。
例えばこちらの表現。
☆☆間、髪(ハツ)を入れず 句
すこしの間も置かず。すぐに。
「三省堂国語辞典 第七版」
*三国の☆☆は「社会常識語」の印。
この見出しに何か違和感を覚えませんか?
具体的には次の二つの点において。
1)「間髪を入れず」ではなく「間、髪を入れず」である。
間髪の「間」と「髪」の間に「、」が入っています。
「間に髪も入らないくらい」という意味を考えれば理屈はわかるのですが、ここに点を置くというのはやはり不思議な感じがします。
ただ点アリの「間、髪を入れず」に対して、点ナシの「間髪」という見出し語もあるのがややこしいところ。
かんぱつ[間髪](名)
→間一髪。
「三省堂国語辞典 第七版」
☆☆かんいっぱつ[間一髪](名)〔=一本の髪の毛しかはいらない、ほんのすこしのすきま〕
ひじょうにきわどいこと。あぶないところ。
「ーの差」
「三省堂国語辞典 第七版」
わざわざこんな見出しもありました。
間髪を入れず 句
「間、髪を入れず」のあやまった言い方。
「三省堂国語辞典 第七版」
2)読みが「かんぱつをいれず」ではなく「かんはつをいれず」である。
日本語の連濁のルール「ん+はつ→んぱつ」を考えれば、「かんはつ」より「かんぱつ」の方が自然に聞こえるのは間違いないでしょう。
実際、辞書を調べてみると「金髪、散髪、洗髪、短髪、断髪」のように「○んぱつ」という音の単語はたくさん見つかりますが、「○んはつ」という音の単語は見つかりませんでした。
ただこれも「間、髪」と分離するなら、上記のような連濁のルールを適用するのは不自然ということになります。
まとめ
ということで、辞書においては、
が正しいのだ!ということになっていますが、どうも「なるほどー」と素直に納得できない自分もいます。
それは単に「間、髪を入れず」という表記や「かんはつをいれず」という音に馴染みがないというのが最大の理由。
歴史的にはそちらが正しいのだとしても、現代日本語においてはもはや「間髪を入れず(かんぱつをいれず)」も許容されているのでは?
そんな風にも思ってしまうのですが、みなさんの意見はいかがでしょうか?
三省堂国語辞典 第七版
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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