とてもふしぎな三つの言葉
沼野充義さんの『世界は文学でできている~対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義』という本を読みました。
その中で紹介されていたポーランドの詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカ(Wisława Szymborska)の「とてもふしぎな三つの言葉」という詩がとても印象に残ったので紹介してみたいと思います。
TRZY SŁOWA NAJDZIWNIEJSZE
Kiedy wymawiam słowo Przyszłość,
Pierwsza sylaba odchodzi już do przeszłości.
Kiedy wymawiam słowo Cisza,
Niszczę ją.
Kiedy wymawiam słowo Nic,
Stwarzam coś, co nie mieści się w żadnym niebycie.
とてもふしぎな三つの言葉
「未来」と言おうとすると「み」はもう過去のものになっている
「静けさ」と言うと静けさをだいなしにしてしまう
「何もない」と 言うと何もない中に収まらない何かが生まれる
ポーランド語で「言葉」は słowo(スウォヴォ)。この詩の中に3回出てきます。
またタイトルになっている「三つの言葉」というのは przyszłość(future)、cisza(silence)、nic(nothing)の三つ。
この3語のアンサンブルが、独特の空気感を生み出しているように思います。
単なる言葉遊びではなく、その奥に深い含蓄があるように思うのですが、どのように感じられますか?
世界は文学でできている~対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義~
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光文社 (2014-01-17)
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