フィンランド語学習記 vol.216 − 左のポケットに
フィンランド語教室で使っているテキストにこんな文が出てきました。
− Onko se vasemmassa vai oikeassa taskussa?(それは左のポケットに入っていますか? それとも右のポケットに入っていますか?)
− Vasemmassa.(左のポケットにあります。)
*se(それは)、vasen(左)、oikea(右)、tasku(ポケット)
フィンランド語で「左」は vasen(ヴァセン)、「右」は oikea(オイケア)。
さきほどの例文では、どちらも「〜の中に」を意味する内格[-ssA]の形になっています。
[内格]vasemmassa(左の中に)
[主格]oikea(右)
[内格]oikeassa(右の中に)
こうしてみると oikea の方は内格の語尾[-ssA]を付けて oikeassa となっていますが、vasen の方はずいぶん形が変わっています。
これはなぜなのでしょう?
そもそも格語尾を付ける際には、まず単語の語幹を求めます。
ここで次のルールを思い出しておきましょう。
→主格(辞書形)がそのまま語幹になります。
語末が[-i][-e]、子音のとき
→語末の変化が起こります。
oikea は[-a]で終わっているのでそのまま。一方の vasen は子音[-n]で終わっているので変化が起こるということに。
それでは vasen の語幹はどのような形になるのでしょう?
結論を先に言えば vasen の語幹は vasemma という形に変化します。ただしこれは手元の変化表にものっていない特殊な形。
語幹 | 格語尾 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
vasen | → | vasemma | + | -ssA | = | vasemmassa |
oikea | → | oikea | + | -ssA | = | oikeassa |
最近習った第3不定詞内格の[-mAssA]と全く同じ語尾なので、ずいぶん紛らわしいのですが、あちらは動詞に付ける格語尾。
フィンランド語学習記 vol.199 − 第3不定詞とは? | Fragments
こちらは「左」という名詞に付ける格語尾なので、これは偶然の一致。
少々ややこしいので vasemmassa という形は、このまま覚えた方がよさそうです。