『神よ、アフリカに祝福を』『南アフリカの呼び声』− 南アフリカ共和国国歌

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フランスの国歌はフランス語で歌い、日本の国歌は日本語で歌う。そんなことは当たり前と思われるかもしれませんが、世界には5つの言語を織り交ぜて歌う国歌というのも存在します。

それが、南アフリカ共和国の国歌『神よ、アフリカに祝福を』『南アフリカの呼び声』で、1曲を「コサ語」「ズールー語」「ソト語」「アフリカーンス語」「英語」の5言語で歌いつないでいきます。

これらはすべて南アフリカ共和国の公用語であり、この他に「南ンデベレ語」「北ソト語」「スワジ語」「ツォンガ語」「ツワナ語」「ヴェンダ語」の6言語を加えた11の言語が1996年の新憲法で公用語として採択されました。

タイトルからも分かるとおり、この曲はもともと別の2曲を組み合わせて1つの国歌にしたもので、構成と歌詞は下記のとおり。

元曲 言語 歌詞
神よ、アフリカに祝福を コサ語 Nkosi sikelel’ iAfrika
Maluphakanyisw’ uphondo lwayo,
ズールー語 Yizwa imithandazo yethu,
Nkosi sikelela, thina lusapho lwayo.
ソト語 Morena boloka setjhaba sa heso,
O fedise dintwa le matshwenyeho,
O se boloke, O se boloke setjhaba sa heso,
Setjhaba sa, South Afrika — South Afrika.
南アフリカの呼び声 アフリカーンス語 Uit die blou van onse hemel,
Uit die diepte van ons see,
Oor ons ewige gebergtes,
Waar die kranse antwoord gee,
英語 Sounds the call to come together,
And united we shall stand,
Let us live and strive for freedom
In South Africa our land.

*表は Wikipedia「南アフリカの国歌」より

前半の『神よ、アフリカに祝福を』は黒人解放運動の象徴となった賛美歌、後半の『南アフリカの呼び声』はアパルトヘイト時代の国歌ということですが、旋律は違和感なくつながっているような気がします。

成立の背景はどうあれ、まずは一つの曲として聞いてみてください。独特の高揚感がある素晴らしい曲だと思います。