フィンランド語学習記 vol.641 − Kustaa Vaasa(2)
きのうに続いて Mauri Kunnas の『Koirämäen Suomen historia』より、スウェーデン王グスタフ1世のページを見ていきます。
Kirkkojen varat otettiin valtakunnan käyttöön, Kustaa Vaasalla kun oli isot velat. Koiramäenkin kirkko joutui luovuttamaan suurimman kellonsa kruunulle. Sota Tanskaa vastaan oli tullut kalliiksi, ja Ruotsi ja Venäjäkin sotivat lakkaamatta. Syrjäseudulle, Venäjän ja Ruotsin raja-alueelle Savoon oli muuttanut uutta väkeä, eikä se tietenkään venäläisiä miellyttänyt.
グスタフ1世には多大な負債があったので、教会の財産は王国が利用できることになった。コイラマキの教会は最も大きな鐘を王に引き渡さなければならなかった。デンマークとの戦争には高額の戦費がかかり、スウェーデンとロシアは終わることのない戦争をしていた。周辺部では、ロシアとスウェーデンの境界のサヴォに新しい人々が入ってきた。ロシアの人々はもちろんそれを喜ばなかった。
フィン | 英 | 日 |
---|---|---|
varat | funds | 金、財産 |
valtakunta | kingdom | 王国 |
ottaa käyttöön | put into use | 使用される |
velka | debt | 負債、借金 |
joutua +mAAn | be forced to do | 〜することを強いられる |
luovuttaa | hand over | 引き渡す |
kruunu | crown | 王冠、王位 |
sotia | wage war | 戦争する |
lakata | cease | 終わる |
syrjäseutu | periphery | 周辺 |
seutu | area, region | 地方 |
raja | border | 境界 |
väki | people | 人々 |
miellyttää | please | 嬉しがらせる |
kello
今回取り上げたいのはこの一文。
Koiramäenkin kirkko joutui luovuttamaan suurimman kellonsa kruunulle.
コイラマキの教会は最も大きな鐘を王に引き渡さなければならなかった。
最初この中の kello を当たり前のように「時計」と訳してしまったのですが、この時代に時計なんてある?と思い直して調べてみると kello には「鐘」の意味もあることがわかりました。
馴染みのある単語でも改めて辞書を確認することは大切だなと思いました。
続きは明日のエントリーにて。
10月 19, 2018 @ 09:43:52
こんにちは,老婆心ながら一筆。
昔,日本では第二次大戦中に戦車や大砲を作る金属が払底し,国・軍部が国民から金属を供出させた歴史があります。
Koiramäenkin kirkko joutui luovuttamaan suurimman kellonsa kruunulle.
「最も大きな鐘を王に引き渡す」とここでいう意味は,鐘という金属を供出したというような意味ではありません。
教会は昔から毎日鐘を鳴らし,時を支配していたのですが,この「時の支配権」をグスタフ・ヴァーサは王権に移し,一方カトリックからルター派に改宗させ,カトリック教会の権力を削いで王権を強固なものにしたということです。
従ってこの文章の裏には,「強大な(権力を持つ)時を王に引き渡した」という意味が隠れています。
kelloには3つの意味があります。
①鐘 Kirkon kellot soivat. 教会の鐘が鳴っている。
②時,時刻 Paljonko kello on? 何時ですか。
③時計 Sinulla on hieno rannekello. すてきな腕時計を持ってるね。
11月 20, 2018 @ 22:14:14
Jussi さん
ご教授ありがとうございます。
なるほど。この時代には「時の支配権」というものがあったんですね。
思いもよらない概念でした。
絵本とはいえ、あまり馴染みのないフィンランドの歴史を辿っていくのは面白いです。またそのうち続きを訳してみようかと思います。