漫画チック、乙女チック
日本語にはさまざまなカタカナ語が氾濫しています。
その中でもユニークな存在の一つは、次のようなカタカナ接尾辞ではないでしょうか。
ーチック(接尾)〔tic〕
〔俗〕…的。…風。
「漫画ー・おとめー」
「三省堂国語辞典 第七版」
この「チック」は語釈にもあるとおり、英語の形容詞によく見られる語尾〔tic〕に由来します。
ドラマチック(dramatic)、ロマンチック(romantic)など日本語でよく使われる「〇〇チック」という表現から、漫画チック、乙女チックなどの和製表現が生まれたわけですね。
現在ならドラマティック、ロマンティックという表記の方が主流だと思いますが、漫画ティック、乙女ティックは何だか違和感があります。これはちょっと不思議。
なお三国で「チック」で終わる日本語を探してみると、次のようなリストができました。
- アスレチック〔athletics〕
- アンチック〔antique〕
- エキゾチック〔exotic〕
- エロチック〔erotic〕
- オートマチック〔automatic〕
- おとめチック[乙女チック]
- ゴチック〔Gotik〕
- システマチック〔systematic〕
- ドラマチック〔dramatic〕
- フィールドアスレチック〔Field Athletic=商標名〕
- プラスチック〔plastics〕
- ペダンチック〔pedantic〕
- まんがチック[漫画チック]
- ロマンチック〔romantic〕
こうしてみると、厳密には英語の綴りが〔tic〕ではないものもいくつかありますね。
乙女チックと漫画チックは見出し語にもなっていたので、さっそく引いてみました。
おとめチック[乙女チック](形動ダ)
〔俗〕いかにも若い女の子の好みだ。少女趣味。
「三省堂国語辞典 第七版」
まんがチック[(漫画)チック](形動ダ)
〔俗〕漫画的。ナンセンス。
「三省堂国語辞典 第七版」
単に乙女らしい、漫画らしいという意味を伝えるだけでなく、どちらにもちょっとした嘲りのようなニュアンスが含まれているのは面白いところ。
他に和製チックはないか探してみたところ、日国に次の見出し語がありました。
メルヘンチック
〘形動〙 (洋語ドイツMärchen+英-tic) 童話の世界にでもありそうなさま。また、現実離れしたさま。「メルヘンチックな駅舎」
「精選版 日本国語大辞典」
こちらは何とドイツ語と英語の混種語。
こんな組み合わせまで生み出してしまう日本語の造語力には本当に驚かされます。
他にもこんな「〇〇チック」があるよという情報がありましたら、ぜひ情報提供をお願いいたします!
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