あらげる、あららげる

「声を荒げる(あらげる)」という日本語は間違いで、正しくは「声を荒らげる(あららげる)」であるという話を聞いたことがあります。

理屈としてはわかるものの「あらげる」が間違いとまで言い切ってしまうのはやや違和感があります。辞書ではどうなっているのだろう?と思い、調べてみました。

あらげる[荒げる](他下一)

あららげる。

「三省堂国語辞典 第七版」

☆☆あららげる[荒らげる](他下一)

〔声などを〕あらくする。あらげる。

「声をー・語気をー」

「三省堂国語辞典 第七版」

あらげる【荒げる】

(他下一)

→あららげる

「新明解国語辞典 第七版」

あららげる【荒らげる】

(他下一)

相手の(不快な)言動に刺激されたり状況のやりきれなさにいらだちを覚えたりなどして、反撥(ハンパツ)的な態度に出る。荒げる。

「声をー〔=声を必要以上に高くする〕」

「新明解国語辞典 第七版」

三国、新明解ともに「あらげる」と「あららげる」の両方が見出し語になっています。

ただどちらも「あらげる」を引いた場合は「あららげる」に誘導されるので、どちらかといえば「あららげる」の方を正当だと考えているでしょう。

こういう言葉のせめぎあいに接すると、50年後・100年後はどうなっているのだろう?と想像します。

  1. あらげるに統一される。
  2. このまま併用される。
  3. あららげるに統一される。

さすがに3はないでしょう。ただ1に向かうのか、2にとどまるのかは微妙なところ。

もし辞書の記述が、

あららげる【荒らげる】

→あらげる

となったら、じわじわ1に向かっているということなのかなと思います。