「屋上にのぼる」と「屋上にあがる」の違いとは?
日本語では「山にのぼる」とは言うものの「山にあがる」とは言いません。
一方「屋上にのぼる」と「屋上に上がる」はどちらも使われます。
この場合の「のぼる」と「あがる」の違いとは何なのでしょう?
手元の辞書に面白い説明が出ていました。
「のぼる(上・昇・登)」は、糸のように線条的に上に移っていくこと。のぼって行くものの性質は、上に行っても変わらない。「力をつけてトップの座にのぼる」「さけが川をのぼる」。「あがる」は、(高いところにある)別の世界に移ること。だから、「魚があがる」は、死ぬこと。「雨があがる」は、やむこと。「あがってしまう」と、いつもの頭がはたらかなくなって失敗する。
「角川必携国語辞典」
のぼるは糸のように線条的に上に移っていくことという説明は面白いですね。
山にのぼるという行為においては、のぼっていく過程そのものが大切。
もし山にエレベーターが付いていて一気に頂上に行くことができるのなら、山にあがるという表現もありなのかもしれません。
そこから連想すると、屋上にのぼるは上に移動すること、屋上にあがるは移動した結果に力点があるという違いが見えてきます。
別の言い方をすると、屋上にのぼるという表現から連想するのは階段を移動している人の姿、屋上にあがるという表現から連想するのは屋上に立っている人の姿ということになります。
また、あがるは別の世界に移ることというさきほどの辞書の説明にもつながるのかもしれませんが、屋上にのぼるより屋上にあがるの方が少しだけわくわくする。。。というのは単なる後付けでしょうか。