Opening lines − from Wikiquote

Wikiquote は著名な人々の言葉や作品からの「引用」を集めたウェブサイトです。

その中の一項目 Opening lines では様々な小説の書き出しを集めています。いくつか紹介してみましょう。

 

Anna Karenina by Leo Tolstoy

Happy families are all alike; every unhappy family is unhappy in its own way.

幸福な家族は全て似ているが、不幸な家族はそれぞれのやり方で不幸である。

『アンナ・カレーニナ』のオープニング。こんな鋭いことを言われては、返す言葉がありません。「家族」を他のことばに置き換えて読むこともできそうですね。

 

The Great Gatsby by F. Scott Fitzgerald

In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I’ve been turning over in my mind ever since.

ぼくがまだ年若く、いまよりもっと傷つきやすい心を持っていた時分に、父がある忠告を与えてくれたけれど、爾来ぼくは、その忠告を、心の中でくりかえし反芻してきた。(野崎孝訳)

『グレート・ギャツビー』の有名なオープニング。その忠告とはどんなものなのか気になるのでもう一文。

“Whenever you feel like criticizing any one,” he told me, “just remember that all the people in this world haven’t had the advantages that you’ve had.”

「ひとを批判したいような気分が起きた場合にはだな」と、父は言うのである「この世の中の人がみんなおまえと同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思いだしてみるのだ」(野崎孝訳)

『グレート・ギャツビー』は大学生のときに、野崎孝さんの訳(新潮文庫)で初めて読みました。今は中央公論新社から村上春樹さんの訳も出ています。

小説を読み終えて振り返ってみると、この最初の二行が、小説の世界観そのものであることに気が付きます。

 

Little Women by Louisa May Alcott

“Christmas won’t be Christmas without any presents,” grumbled Jo, lying on the rug.

「プレゼントのないクリスマスはクリスマスじゃない。」ジョーは絨毯の上にころがってぶつくさと文句を言った。

こちらは『若草物語』。全く何ということもないこのオープニングが好きです。「クリスマス ウォウンビィー クリスマス」という音の響きも楽しいですし、なんだか、これから何か素晴らしいことが起こる予感を感じませんか?

小説の最初の一節というのは、時にその小説全体の印象を反映しているようなところもあります。

翻訳であれ、原書であれ、自分がこれまでに読んだ小説の Opening lines を改めて読み返してみるのも楽しい作業かもしれません。

 
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