フィンランド語学習記 vol.15 − 格変化のある文を作ってみる

フィンランド語教室8週目のレポート。

今週からいよいよ本格的に格変化について学ぶことに。そこで今回のエントリーでは、フィンランド語の格変化とはどのようなものであるのか? をフィンランド語を知らない人にも理解してもらえるように説明してみたいと思います。

例えば「私は学校にいます」と言いたいとき。

英語では、I’m at school. というように、私と学校の関係は前置詞「at」で表します。それに対して、フィンランド語では at school に当たる部分を school の格変化(語形変化)による一語で表すという仕組みを持っています。

これだけならよいのですが、フィンランド語の場合、この格変化が約30種類もあるため、初学者が覚えるのはなかなか大変です。また、

  • 名詞と合わせて、その名詞を修飾する形容詞も格変化する。
  • 語形変化のもとになる「語幹」自体が、語のつづりなどによって様々に変化する。

などのルールもあります。

これだけではわかりにくいと思いますので、例えば「私は白い教会にいます」という文を作ってみましょう。必要な単語は下記のとおり。

minä(私)
olen(〜です)
valkoinen(白い)
kirkko(教会)

まずは単純に並べてみましょう。

Minä olen valkoinen kirkko.

このままだと「私は白い教会です」の意味になってしまうので、「教会」を「教会の中に」の形に変化させます。

フィンランド語の「〜の中に」の形は語尾に[-ssa]を付けて作るので、

kirkko + ssa = kirkkossa

としたいところですが、ここでまた別のルールが。

 

ルール① 語幹の最後の音節に[k, p, t]の文字が含まれるときは、語幹が変化する。

この場合の語幹(kirkko)の最後の音節には[k]が含まれていますので、kirkko を変化させなければなりません。この変化パターンは手元の一覧表によると15種類くらいあるみたいです。(もしかするともっとあるのかもしれませんが)

一覧表を探してみると[kk]は[k]に変化するというパターンを見つけることができます。よって、

kirkko ⇒ kirko
kirko + ssa = kirkossa

となります。しかしここで安心してはいけません。

 

ルール② 語幹に[a, o, u]が含まれているときは語尾が[-ssa]のままでよいが、含まれていないときはウムラウト付きの[-ssä]となる。

えーと、この場合は kirkko に[o]が含まれているので、ウムラウトなしの[-ssa]でよいということですね。

さてようやく kirkko の変化が終わったので、次に valkoinen を同様の形に変化させてみましょう。

同じように[-ssa]を付けて、

valkoinen + ssa = valkoinenssa

でよいのかな? 語幹の末尾に[k, p, t]もないし。。。と思いたいところですが、ここでさらに次のルールが登場。

 

ルール③ 語幹の末尾が[i, e]または「子音」で終わっているときは、語幹が変化する。

valkoinen の末尾は[n]ですので、子音で終わっていますね。そこでまたまた別の変化一覧表を参照いたします。

すると語幹が[-nen]で終わっている場合は[-se]に変化するというパターンが見つかり、

valkoinen ⇒ valkoise
valkoise + ssa = valkoisessa

となります。

これでようやく一文が完成し、

Minä olen valkoisessa kirkossa.(私は白い教会にいます。)

という文がめでたく出来上がりました。

たった一文なのに、なかなか大変な作業だと思われたでしょうか?

しかしまだ始めたばかりなのでうかつなことは言えませんが、慣れてくればそれほど難しいことではないのかも、という気もしています。そのあたりの理由はまた別のエントリーで書いてみたいと思います。