起こったことを、起こらなかったことに
英語の[un-]という接頭辞は、動詞に付くと反対の動作を意味します。
わかりやすいのは、こんな例でしょうか。
fold(〜を折りたたむ) | unfold(〜を広げる) |
あるいは次のような日常の動作にも。
dress(〜の服を着せる) | undress(〜の服を脱がせる) |
lock(〜の鍵をかける) | unlock(〜の鍵を開ける) |
plug(〜のプラグを差す) | unplug(〜のプラグを抜く) |
折りたたんだものを広げる、プラグを差したら抜く。
それはわかるのですが、次の場合はどうでしょう?
happen(起こる) | unhappen(???) |
起こったことを、、、起こらなかったことに?
この動詞を使えば、タイムマシンに乗って、過去にさかのぼることができるのでしょうか?
この unhappen を理解するのにぴったりの例文が Wiktionary に出ていたので引用してみます。
unhappen
(intransitive) To cease to have happened; to undo itself.
I wish everything that happened between us could unhappen, and we could start again.「Wiktionary」
やはり unhappen は「起こったことを、起こらなかったことにする」の意味。
ことばというのは現実の反映であるとともに、私たちの思考の反映でもある訳ですから、こういう動詞があっても不思議ではありません。
むしろ unhappen したいことが次から次へと押し寄せてくるのが日々の現実、と言ったらネガティブ過ぎるでしょうか?