日本語の「九」は何と読む?
普段は意識することがなくても、私たちの使う日本語をよーく眺めてみると、そこには理不尽(?)なルールがたくさん見つかります。
その一つは、数字の読み方。
例えば「九」という数字に「きゅう」と「く」という二通りの読み方があることはご存知のとおり。
普通に数を数えているときには、どちらの読み方でもかまいません。
きゅう | く | |
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九 | ○ きゅう | ○ く |
十九 | ○ じゅうきゅう | ○ じゅうく |
九人 | ○ きゅうにん | ○ くにん |
平成九年 | ○ きゅうねん | ○ くねん |
しかし次のような使われ方をするときには、どちらかが○でどちらかが×になってしまいます。
きゅう | く | |
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九十 | ○ きゅうじゅう | × くじゅう |
九月 | × きゅうがつ | ○ くがつ |
九歳 | ○ きゅうさい | × くさい |
九時 | × きゅうじ | ○ くじ |
九回 | ○ きゅうかい | × くかい |
九分九厘 | × きゅうぶきゅうりん | ○ くぶくりん |
また 「九」の読み方にはこのように明確に割り切れないものもあります。
例えば「三十九度」という表現。
熱が三十九度あるときには「さんじゅうくど」の方がしっくりきますが、気温が三十九度あるときには「さんじゅうきゅうど」の方がしっくりきませんか?
このような例に出会ったときに思うのは、ヒトの第一言語習得能力というのは本当にすごいものだということ。
日本語のネイティブスピーカーなら、ここまでに挙げた「きゅう」と「く」の使い分けが全て無意識にできてしまうのだから、これはもう脱帽するよりほかありません。
しかしネイティブにはかなわないとわかっていても、言語の森に分け入って散策する楽しみが万人に開かれていることもまた確かです。