フィンランド語学習記 vol.128 − 極夜と白夜
フィンランド語で「極夜」は kaamos(カーモス)。
kaamos
The polar night; period of darkness north of the Arctic Circle when the sun does not rise over the horizon.
『Wiktionary』
極夜というのは、北極圏で冬の間、太陽が昇らない期間のこと。
とはいっても、太陽が地平線の近くまで来れば、終日暗闇ということはなく昼の数時間は薄明が続くのだとか。
もちろん経験したことはないのですが、薄明の時間にはずいぶん幻想的な風景が見られるそうです。
しかし数日なら幻想的などと言っていられますが、そこで暮らす人にとってはずいぶん大変な季節なのでしょう。
来る日も来る日も夜ばかりでは精神的に追いつめられてしまいそうです。
なお「極夜」の反対は「白夜」ですが、フィンランド語には kaamos のように一語で明確に「白夜」を表す単語はないとのこと。
その代わり、次のような表現で「白夜」を表します。
フィン | 日 | |
---|---|---|
1 | keskiyön aurinko | 真夜中の太陽 |
2 | yötön yö | 夜のない夜 |
こうして見ると、なかなかおもしろい表現が並んでいます。
1)keskiyö の[keski-]は「真ん中」を意味する接頭辞。yö は「夜」の意味。「真ん中の夜=真夜中」という意味になります。
またここでの keskiyö は「〜の」を表す属格の形[-n]になっています。
[属格]keskiyön(真夜中の)
aurinko は「太陽」の意味。aurinkoinen と形容詞の形にすれば「晴れ」の意味になります。
2)yötön の[-tön]は「〜がない」を意味する接尾辞。よって yötön yö で「夜のない夜」という意味になります。
語呂のよい撞着語法(oxymoron)になっていますね。
[参考]oxymoron の不思議な世界 | Fragments
語呂がよいと言っても、yö の発音は日本人にとってはなかなか難しいので、yötön yö の発音もかなり難易度は高そうです。
気になる人はこちらで聞いてみてください。