忘れん坊

<17102201

先日、ある約束を忘れてしまった知り合いの人が「私、忘れん坊なんですよ」と言っていました。

忘れん坊って何だか素敵な日本語ではないでしょうか。

これは辞書にのっている言葉なのだろうか?と思い、調べてみるときちんと出ていました。

わすれんぼう[忘れん坊](名)

〔俗〕ものごとを忘れやすい人。わすれんぼ。

「三省堂国語辞典 第七版」

日本語にはこの「忘れん坊」の他にも[ーん坊]の付く言葉がたくさんあります。

辞書からざっと拾ってみました。

  • あかんぼう[赤ん坊]
  • あばれんぼう[暴れん坊]
  • あまえんぼう[甘えん坊]
  • あわてんぼう[慌てん坊]
  • いやしんぼう[卑しん坊]
  • おこりんぼう[怒りん坊]
  • かくれんぼ[隠れん坊]
  • きかんぼう[利かん坊]
  • くいしんぼう[食いしん坊]
  • くろんぼう[黒ん坊]
  • けちんぼう[けちん坊]
  • さくらんぼ[桜桃・桜ん坊]
  • しわんぼう[吝ん坊]
  • たちんぼ[立ちん坊]
  • とおせんぼ[通せん坊]
  • わすれんぼう[忘れん坊]

これらの[ーん坊]に共通する意味は何でしょう?

三国ではこの[ーん坊]という造語成分そのものも見出し語になっているので、そちらを参照してみました。

ーんぼう[(ん坊)](造語)

①困った性質の人を呼ぶことば。

「あまえー・あわてー・けちー・忘れー」

②そういうすがたやかっこう、行動(をしている人)。

「赤ー〔=赤ちゃん。赤いから言う〕・はだかー・立ちー・かくれー」

③動植物をしたしんで言うことば。

「あめー・さくらー・つくしー」

▽んぼ。

「三省堂国語辞典 第七版」

さきほど並べた[ーん坊]の付く言葉の多くは、上記の分類で①の「困った性質の人を呼ぶことば」に当たります。

ただ「怒りん坊」と言われると「短気な人」より柔らかい感じがしますし、「慌てん坊」と言われると「そそっかしい人」より愛嬌があるような気がします。

そういう意味で[ーん坊]というのは、私たち人間のマイナスな一面を暖かく受け入れてくれる、貴重な日本語なのではないでしょうか。

 
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