フィンランド語学習記 vol.508 − 芸術と文化を作る人(2)

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昨日のエントリーでは「〜する人」を意味するフィンランド語の接尾辞[-jA]の付く単語から、もとの動詞を取り出してみました。

laulaja(歌手)→ laulaa(歌う)

フィンランド語学習記 vol.507 − 芸術と文化を作る人

今回は逆に動詞の方から[-jA]の形を作る手順を確認してみたいと思います。

手順そのものは非常にシンプル。

  1. 語幹をもとめる
  2. 語幹に[-jA]を付ける

ただ語幹のもとめ方は動詞のタイプによって異なるので、まずはフィンランド語の動詞のタイプをおさらいしておきましょう。

タイプ1 2つの母音で終わる動詞
タイプ2 [dA]で終わる動詞
タイプ3 [lA, nA, rA, stA]で終わる動詞
タイプ4 [AtA, OtA, utA]で終わる動詞
タイプ5 [itA]で終わる動詞
タイプ6 [etA]で終わる動詞

 

各タイプごとの語幹のもとめ方は次のとおり。

ステップ1 ステップ2
タイプ1 おしまいの[A]を外す kpt交替のチェック
タイプ2 おしまいの[dA]を外す
タイプ3 おしまいの2文字[lA, nA, rA, tA]を外し
[e]を添える
逆kpt交替のチェック
タイプ4 おしまいから2文字目の[t]を外す 逆kpt交替のチェック
タイプ5 おしまいの[A]を[se]に変える
タイプ6 おしまいの[tA]を[ne]に変える 逆kpt交替のチェック

 

この2つのステップを昨日取り上げた単語に適用してみます。

T1 laulaa(歌う) → laula → laulaja(歌手)
T1 puvustaa(衣装を調達する) → puvusta → puvustaja(衣装係)
T1 lavastaa(舞台を作る) → lavasta → lavastaja(舞台美術家)
T1 katsoa(見る) → katso → katsoja(観客)
T2 käydä(訪問する) → käy
→ *kävi
*これだけ過去語幹?
→ kävijä(訪問者)
T3 taiteilla(芸術作品を作る) → taiteile → taiteilija(芸術家)
T3 näytellä(演じる) → näyttele → näyttelijä(俳優)
T4 ohjata
(監督する、演出する)
→ ohjaa → ohjaaja
(監督、演出家)
T4 valokuvata(写真を撮る) → valokuvaa → valokuvaaja(写真家)

 

この中で気を付けなければならないのが、語幹が[e]で終わる動詞。

これらの動詞は[-jA]をつける際に語幹末尾の[e]が[i]に変わります。

taiteilla → teiteile → taiteilija
näytellä → näyttele → näyttelijä

それぞれ *taiteileja, *näyttelejä にはなりませんので、この形を作るときには注意が必要です。

フィンランド語では、新しく覚えた単語が、実はすでに知っている単語の派生形だったというケースがよくあります。

それだけに今一度、語形変化のパターンをきちんと押さえておくことで、語彙力の増強にもつながるのではないかと思います。