旬と筍

土井善晴さんの『まねしたくなる土井家の家ごはん』という本を読んでいたら、食材の旬(しゅん)に関して次のような記述がありました。

ちなみに「旬」というのは、竹が節をひとつ作る期間のことなのですよ。その期間はなんと、わずか二週間ほど!

『まねしたくなる土井家の家ごはん』P.31

なるほど。旬という言葉にはそんな由来があったんですね。

辞書にはどのように出ているのだろう?と思い、調べてみました。

 

旬と旬

しゅん[旬]

一(名)

①さかなや野菜などのいちばん味のいいとき。

②〔何かをおこなうのに〕もっとも適した時機。

「三省堂国語辞典 第七版」

ここには旬の期間についての説明はありません。

ただ旬(しゅん)の後にはもう一つ次のような見出し語がありました。

じゅん[旬]

(名)〔文〕十日間。

(造語)〔ー旬〕〔一か月を十日ずつに分けたときの、それぞれの〕十日間。

「三省堂国語辞典 第七版」

旬のものと言うときの「旬」と上旬・中旬・下旬と言うときの「旬」が同じ漢字であるということはこれまで意識したことがありませんでした。

三国では別の見出し語として扱っていますが、おそらくは同じ由来の言葉なのでしょう。

旬というのが十日〜二週間くらいの期間なのだとすれば、それは本当にあっという間に過ぎ去ってしまう、はかないものなのだなと改めて思います。

 

旬と筍

冒頭の引用には「旬というのは、竹が節をひとつ作る期間」という記述があります。

これを見て思ったのは、旬に竹を重ねると筍(たけのこ)という漢字になるなということ。

たけのこ[(竹の子)・(×筍)](名)

①〘植〙うろこの形の皮で包まれた、竹の若芽。食用。

「三省堂国語辞典 第七版」

この漢字について、筍は成長が早く十日間ほどで竹になってしまうことから「筍」という漢字になったという説もあれば、これを民間語源として退ける説もあるようです。

漢字というのはなかなか難しいですね。

 

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