ビミョーな味
このカレーライスは微妙な味だ。
などと言うときの「微妙」という日本語。
おそらく日本語ネイティブの大半は「このカレーライスはまずい」という意味にこの文を解釈するでしょう。
ただ微妙というのはもともと「少し」のような意味で使われる日本語のはず。
いつからこんな風にネガティブな意味で使われ始めたのでしょうか?
何かヒントがあるかと思い、辞書を引いてみました。
☆☆びみょう[微妙](形動ダ)
①美しさ・味わい・状態などの、こまかなところに重要な意味がこめられていて、ひとくちに言いあらわせないようす。デリケート。
「ーなちがい」
②どっちともはっきり言い切れないようす。
「成功するかどうかはーだ・金利引き下げはー」
③〔俗〕
ⓐあまりよくないようすを、遠まわしに言う。
「『試験どうだった?』『ー』・すごくーな味だ〔=まずい〕」
〔二〇〇二年ごろからの言い方〕
ⓑなんとなく。
「ーに心がこもっていないあいさつ」
▽ビミョー。
派生 微妙さ。
「三省堂国語辞典 第七版」
すごく微妙な〔=まずい〕と言い切っているところが面白いですね。
また〔二〇〇二年ごろからの言い方〕とあるので、それほど新しい表現ではないことがわかります。
おそらく一種の婉曲表現として使われ始めて、徐々に市民権を得てきたということなのでしょう。
辞書に掲載されるくらいにまで広まったのは、断定を避けられるこの表現がとても「便利」だったからかもしれません。
「このTシャツ、似合ってる?」「微妙」
「このチャーハン、おいしい?」「微妙」
「仕事、楽しい?」「微妙」
「私のこと好き?」「微妙」
「このチャーハン、おいしい?」「微妙」
「仕事、楽しい?」「微妙」
「私のこと好き?」「微妙」
ただこのように乱発していると、恐ろしい未来が待ち受けているのは間違いないでしょう。
「では微妙の代わりにどんな言葉を使えばよいのでしょうか?」と聞かれると、これまた微妙なところではあります。
三省堂国語辞典 第七版
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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