「とろ火」と「弱火」の違いとは?

「とろ火」と「弱火」の違いは何でしょう?

複数の辞書で比較してみました。

とろび[とろ火](名)

〘料〙とろとろ燃える、弱火より弱い火。

「三省堂国語辞典 第七版」

よわび[弱火](名)

〘料〙弱くほのおの上がる火。(↔強火・中火)

「三省堂国語辞典 第七版」

三国では「とろ火<弱火」という関係になっています。

 

とろび 【弱火】

弱い状態で燃える火。→強火・中火

「新明解国語辞典 第七版」

よわび 【弱火】

とろ火の、文字読みによる新語形。

「新明解国語辞典 第七版」

新明解では「とろび」と「よわび」の両方に「弱火」という漢字が当てられています。

もともと「とろび(弱火)」という表現があって、それを「よわび」と読む人が現れたことから「よわび(弱火)」という表現が生まれたという説のようですね。

火力の違いには触れていないので、関係としては「とろ火=弱火」ということになるでしょうか。

 

とろび【ー火】

〘名〙 とろとろと弱く燃える火。とろとろ火。

*養生訓(1713)七

「文火とはやはらかなる火也」

「精選版 日本国語大辞典」

よわび【弱火】

〘名〙 火力の弱い火。とろび。「豆は弱火で煮るのがよい」

「精選版 日本国語大辞典」

日国でも火力の違いについては触れていません。

弱火の語釈の中に「とろ火」とあることから、こちらも関係としては「とろ火=弱火」ということになるでしょうか。

ここまでの内容を整理してみます。

三国 とろび 弱火
新明解 とろび 弱火
日国 とろび 弱火

 

こうしてみると、とろ火と弱火の火力の違いに触れているのは三国のみ。

ただネット上の解説などでは三国のように「とろ火<弱火」という説明をしている記事が多く見られます。

おそらく歴史的な経緯としては、新明解が説明するように「よわび(弱火)」は「とろび(弱火)」から派生した読み方であり、両者が併用されるうちに「とろ火<弱火」という関係が生まれつつあるということなのではないかと想像します。

みなさんは両者の使い分けを意識していますか?

 
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