冬子、冬青、冬葱、冬眠鼠

いつの間にか秋も深まり、冬の足音が聞こえてきました。

ということで、今回は手持ちの漢和辞典に出ていた冬の難読語を取り上げてみたいと思います。

  • 冬子
  • 冬青
  • 冬葱
  • 冬眠鼠

*「漢辞海 第三版」より

正直これはかなり難しい。。。

一つでも読める人がいたらすごいなと思います。

正解はこちら。

  • 冬子(どんこ)
  • 冬青(そよご・もちのき)
  • 冬葱(わけぎ)
  • 冬眠鼠(やまね)

改めてそれぞれの単語を国語辞書で引いてみました。

ドンコ【冬菇】

〘名〙 (中国語 dōnggū からか) 干ししいたけの一種。初冬から二月ごろまでの低温・低湿下で発生させる。笠が半球形で、縁が裏側に巻き込んでいて肉厚のもの。

「精選版 日本国語大辞典」

そよご【冬青】

〘名〙 モチノキ科の常緑低木または小高木。本州の関東以西、四国、九州の山地に生える。高さ二~三メートル。葉は革質で長さ五~一〇センチメートルの卵状楕円形。一~二センチメートルの葉柄があり先は尾状にとがる。雌雄異株。初夏、葉腋に長柄をもつ径約四ミリメートルの白い四弁花が咲く。雄花は数花が集散花序をなし、雌花は単生する。花後、径六~八ミリメートルの球形の果実を結び紅色に熟す。材はそろばんの玉のほか、床柱・小器具・薪炭用に使う。樹皮からは鳥もちを作り、葉からは褐色染料をとる。硬い葉が風でゆれて「戦そよぐ」意でこの名がある。ふくらしば。〔物品識名(1809)〕

「精選版 日本国語大辞典」

わけぎ【分葱】

〘名〙 ユリ科ネギ属の栽培植物で、葉を野菜として利用する。ネギと分球型タマネギの交配に由来し、鱗茎は長卵形で赤褐色の外皮におおわれる。葉はネギより細く叢生そうせい。夏季休眠する。株分けで繁殖。葉を食用にするため栽培される。なお、この他にもアサツキやネギにも「わけぎ」と呼ぶ系統のものがあり、古名「布由木」や漢名と解されてきた「凍葱」 「科葱」 「慈葱」 「大茖葱」などの実体はいまだ不明である。ふゆねぎ。ふゆぎ。《季・春》 〔日葡辞書(1603−04)〕

「精選版 日本国語大辞典」

やまね【山鼠】

〘名〙 齧歯目ヤマネ科の哺乳類。体長約七センチメートル。ネズミに似ているが尾が長く長毛を有する。体毛は淡褐色の綿状で、背面中央に顕著な黒い縦すじが走る。夜行性で昆虫や木の実などを食べる。冬は木の穴などで冬眠し、刺激を与えても容易に目をさまさない。本州以南の山林に分布する日本の固有種。天然記念物。とうみんねずみ。やまねずみ。

「精選版 日本国語大辞典」

こうして見ると、見出しでは「冬子・冬青・冬葱・冬眠鼠」という漢字を当てていないものも多いです。

これらの単語は冬とどのような関係があるのでしょう?

どんこは冬に育てるしいたけだから「冬子」、やまねは冬眠するねずみだから「冬眠鼠」。この二つはわかりやすいですね。

わけぎは「分葱」と書くのが一般的だと思いますが、別名がふゆねぎなので「冬葱」という表記することもできるのでしょうか? このあたりは調べてみてもよくわかりませんでした。

もちろん冬葱を「ふゆねぎ」と読んでも間違いではないはずです。その場合、難読漢字にはなりませんが。。。

唯一上記の語釈でわからなかったそよごは、調べてみると、冬でも葉が青いので「冬青」と書くのだそう。そよごはモチノキ科の植物なので「もち・もちのき」に冬青という字を当てることもできるようです。

これらの漢字、どんこ以外は完全な当て字なので、当てずっぽうではとても読めそうにはありません。ただどれも冬の豊かさを伝えてくれるような素敵な単語たちだと思います。

 
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