金とカネ

かたかな[片(仮名)](名)〔「カタカナ」とも書く〕

かなの一つ。大部分は漢字の画をはぶいてできたもの。もと漢文訓読の補助符号として考え出された。現在、主として外来語や擬声語、動植物の名前などの表記に用いる。(↔ひらがな)

「三省堂国語辞典 第七版」

日本語のカタカナは主として外来語や擬声語、動植物の名前などの表記に用いる。

その原則には同意しますが、現代日本語ではこれに収まらない用法がどんどん増えていることもまた事実。

例えばこんな単語はどうでしょう。

かね[金](名)

①金属。

②貨幣。

③現金・預金・小切手などの形をとる財産。

表記②③は、報道では「カネ」とも書く。→:お金。

「三省堂国語辞典 第七版」

目に付くのは、報道では「カネ」とも書くという但し書き。

なぜわざわざ「カネ」とカタカナ表記するのでしょう?

一つは「金」には「キン」という読み方もあるので、読み方を固定したいという考えがあるのかもしれません。

  • 金の亡者
  • カネの亡者

これらの表記を比べてみると「カネの亡者」の方がよりダイレクトに意味が伝わってくるような気がしませんか?

ただそれだけではなく「カネ」という表記には、ちょっと品のない印象や政治の世界で動くカネのように背後の権力を連想させるような何かがあります。

そういう意味では日本語の「金(かね)」と「カネ」には単なる文字表記の違いを超えた意味の違いがあるとも言えるでしょう。

この用法がより一般化すれば、将来、国語辞書の見出しに「かね」と「カネ」が並ぶようなこともあるのでしょうか?

 
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