黒板をめぐって

黒板は緑なのに、なぜ「黒板」と言うのでしょう?

そんな疑問が浮かんだので、辞書を引いてみました。

こくばん[黒板](名)

チョークで文字が書けるように、黒または緑色に塗った板。塗板。

「三省堂国語辞典 第七版」

三国によると黒板の色は黒または緑色。

緑だけではなく、黒い黒板も存在するということなんですね。

。。。と書いていて、そもそも「黒い黒板」という日本語が成立すること自体が面白いことだということに気付きました。

黒い黒板は理屈の上では「白い白鳥」と同じような重言のはず。

じゅうげん[重言](名)

意味のかさなっていることばを続けて言う言い方。例、馬から落馬する。

「三省堂国語辞典 第七版」

ただ黒板=緑が主流の現代においては、黒い黒板が重言にならず、逆に「えっ?黒い黒板があるの?」と言われかねません。この逆転現象は面白いですね。

さらに調べてみると、日本語の「黒板」は英語の blackboard の直訳であるということがわかりました。

blackboard

(also chalkboard especially in North American English)

a large board with a smooth black or dark green surface that teachers write on with a piece of chalk

「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」

OALD でも blackboard の色は black or dark green と定義されています。

(ただ英語には chalkboard という表現もあります。)

英語の blackboard も日本語の黒板も、昔は黒が主流だったものの時代とともに緑が主流に変わった。しかし呼び名は blackboard/黒板のまま変わらなかったという経緯なのでしょう。

ことばというのは変わり身が早いようで案外保守的なところもあるんですね。

 
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