フィンランド語学習記 vol.672 − kaikki(1)

フィンランド語で「すべて」を意味する kaikki は単複同形の不思議な単語。

Wiktionary には次のような説明が出ています。

kaikki

  1. (indefinite, in singular, without a main word) Everything.
  2. (indefinite, in plural, without a main word) Everyone, everybody.
  3. (indefinite, in singular and plural, as a modifier) All.

「Wiktionary」

単複について整理するとこんな感じでしょうか。

  1. (名詞的)「すべて」の意味では単数扱い
  2. (名詞的)「みな、全員」の意味では複数扱い
  3. (形容詞的)「すべての」の意味では単数・複数扱い

今回はこのうち1と2の区別について考えてみます。

まずは kaikki が主語の場合。Wiktionary から例文を拾ってみました。

1)Tänään kaikki menee pieleen.(今日はすべてがうまくいかない。)
2)Kaikki olivat täällä.(全員がここにいた。)

1の kaikki は単数扱いなので、動詞は menee と三人称単数の形に、

2の kaikki は複数扱いなので、動詞は olivat と三人称複数の形になっています。

逆に、動詞が単数形なら主語の kaikki は「すべて」、動詞が複数形なら主語の kaikki は「みな、全員」の意味になると考えることもできるでしょう。

次に kaikki が目的語の場合。同じく Wiktionary から例文を拾ってみました。

1)Vihaan kaikkea.(私はすべてが嫌いだ。)
2)Vihaan kaikkia.(私はみんなが嫌いだ。)

1の kaikkea は単数扱いなので単数分格の形に、

2の kaikkia は複数扱いなので複数分格の形になっています。

ここまでの形を整理してみましょう。

単数 複数
主格 kaikki kaikki
分格 kaikkea kaikkia

 

主格の方は動詞の形によって単複を判断できるので、同型であっても問題ないんですね。

長くなりそうなので、本日はここまで。

明日も引き続き kaikki について見ていきたいと思います。