鳥が空を

この前、鎌倉の由比ヶ浜あたりを自転車で走っていたときのこと。

冬空をすーっと一羽の鳥が飛んでいくのを見て、頭の中にこんな文が浮かびました。

A bird is flying in the sky.
フィン Lintu lentää taivaalla.
鳥が空を飛んでいる。

 

「空を」の部分を英語では in the sky と表すのに対して、フィンランド語では taivaalla と表します。

taivaalla は「空」を意味する名詞 taivas の接格[-llA]の形。

フィンランド語の接格はもともと「〜の表面に」を意味するので、英語に直訳すれば on the sky という感じでしょうか。

空の中ではなく表面を飛ぶというのは面白い感覚だなあ、、、などと考えていたときのこと。

日本語の「空を」というのもかなり不思議な表現なのではないかと思い始めました。

ロジカルに考えれば、鳥は「空を」飛ぶのではなく「空で」飛ぶのではないでしょうか?

ただ「鳥が空で飛んでいる」というのはもちろん不自然な日本語です。

辞書で格助詞の「を」を調べてみました。

(格助)

①動作・作用の対象をあらわす。

「犬が人ーかむ・風が木ー倒す・本ー読む・生徒ー教える・ペンキーかべにぬる」

②その結果にするものをあらわす。

③出発・分離する所をあらわす。から。

④経由する場所をあらわす。

「道ー行く・空ーとぶ・門ーはいる」

⑤経過する時間をあらわす。

⑥ある状態(にあるもの)を、動作・作用の対象のように言う。

⑦感情の対象をあらわす。

「三省堂国語辞典 第七版」

今回の「を」は④の意味。空を飛ぶという用例も出ています。

多くの人が「を」という格助詞から最初に連想するのは①の意味だと思いますが、実際にはずいぶん幅広い意味があるんですね。

日本語を外国語として学ぶ人はこんな風に「を」を分類して理解しているのだろうかと想像すると、外国語を学ぶというのは大変なことだと改めて思います。

 
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