piano vs pianoforte
Wiktionary で piano という単語を調べると、次のような語源が出ています。
Short form of pianoforte, from Italian pianoforte, from piano (“soft”) + forte (“strong”).
「Wiktionary」
ここからわかるのは次の三点。
- piano はもともと pianoforte という単語の短縮形である。
- 英語の pianoforte はイタリア語の pianoforte に由来する。
- pianoforte の piano は soft(弱音で)、forte は strong(強音で)を意味する。
英語でピアノは piano、イタリア語でピアノは pianoforte。
それなら他のヨーロッパの言語ではどうなっているのだろう?と思い、『13か国語でわかるネーミング辞典』を引いてみました。
英 | ピアノー | piano |
---|---|---|
仏 | ピアノ | piano |
独 | クラヴィーア | Klavier |
伊 | ピャノフォルテ | pianoforte |
西 | ピアーノ | piano |
葡 | ピアーノ | piano |
蘭 | ピアノ | piano |
羅 | ||
希 | ピアノ | πιάνο |
露 | ファルテピヤーナ | фортепиано |
中 | ガンチン | 钢琴 |
韓 | ピアノ | 피아노 |
剌 | ビャーノゥー | بيانو |
なんとなく piano vs pianoforte の構図になるのかと思ったら、ドイツ語の Klavier という単語が異彩を放っています。
調べてみると Klavier は key を意味するラテン語 clavis に由来するのだそう。
ドイツ語 | Klavier | piano |
---|---|---|
↑ | ||
フランス語 | clavier | keyboard |
↑ | ||
ラテン語 | clavis | key |
この Klavier を除けば、ヨーロッパでは piano が多数派。
ただ pianoforte はイタリア語だけなのかなと思いきや、ロシア語の фортепиано も順番こそ逆なもののイタリア語の仲間と呼べそうです。
しかしさらに調べてみると、現代のイタリア語では正式名称の pianoforte ではなく単に piano と呼ばれるケースも多いとのこと。
となると、pianoforte は未来において絶滅に向かう単語ということになるのでしょうか?