might is right

『日本国語大辞典』には古今の様々な文学作品からの引用が各見出し語の用例として掲載されています。

先日、何気なく辞書を眺めていたら漱石の『坊ちゃん』のこんな一節が目にとまりました。

きょうしゃ【強者】

〘名〙 つよい者。剛者。↔弱者。

*坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉四

「山嵐は might is right といふ英語を引いて説諭を加へたが、何だか要領を得ないから、聞き返して見たら強者の権利と云ふ意味ださうだ」
〔戦国策 − 趙策・孝成王〕

「精選版 日本国語大辞典」

国語辞典の中にふいに might is right という英語のフレーズが登場。

might という英単語にはよく知られた助動詞の他に、名詞としての用法もあったはず。念のため辞書で確認してみました。

might

1(強い)力;権力;勢力

Might is [makes] right.
(ことわざ)力は正義;「勝てば官軍」

「ウィズダム英和辞典 第3版」

タイムリーにさきほどの might is right が登場。

なるほど。「勝てば官軍」というニュアンスの表現なんですね。英語では might と right がきれいに韻を踏んでいるので、より印象に残る表現になっています。

ある意味、人間社会の本質を突いているこの格言。日本語と英語以外の言語にも同様の表現があるのでしょうか?

 
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