独壇場と独擅場

飲み会からの帰り道、国語辞書アプリを眺めていたら面白い項目を見つけました。

☆☆どくだんじょう[独壇場](名)〔「独擅場ドクセンジョウ」の読みあやまりから〕

自分だけが活動する場所。ひとりぶたい。

「この分野は彼のーだ」

「三省堂国語辞典 第七版」

どくせんじょう[独×擅場](名)

→どくだんじょう。

「三省堂国語辞典 第七版」

これによると独壇場(どくだんじょう)という言葉は独擅場(どくせんじょう)の読みあやまりから生まれた表現であるとのこと。

つまり擅(せん)という漢字をうっかり(だん)と読み間違えているうちに、いつのまにか漢字の方も壇(だん)に変わってしまったということなんですね。

たしかに壇と擅はよく似ています。

壇(だん)

擅(せん)

改めてそれぞれの漢字を漢和辞典でチェックしてみました。

ダン・タン

①土で築かれた高い台。祭祀サイシ・謁見・盟約などの儀式を行った場所。「郊壇」「盟壇」

「全訳 漢辞海 第三版」

セン

①{ほしいままニス}

㋐一手に握る。思うがままに行う。

㋑すべてを占有する。ひとりじめにする。

㋒圧倒する。

「全訳 漢辞海 第三版」

これを見ると「どくだんじょう」という言葉にふさわしいのはよりであることがよくわかります。

またどんなに「正しい日本語とは」と語ってみたところで現実の変化の前では無力であるということをこの種の表現は示してくれます。

個人的にはこのようなテキトーなエピソードが大好きだったりするのですが。

 
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