フィンランド語学習記 vol.766 − ふたたび päästä について

フィンランド語の päästä という動詞には「行く」と「離れる」という意味があります。

Pääsitkö yliopistoon?

あなたは大学に行きましたか?

Pääsimme suomen kurssille.

私たちはフィンランド語の授業に行きました。

Milloin pääset työstä kotiin.

あなたはいつ仕事を終えて家に帰りますか?

Pääsimme kurssilta klo 12.

私たちは12時に授業を終えました。

「Tarkista Tästä」P.112-113

後続の名詞が入格や向格なら「行く、着く」、出格や離格なら「離れる」というイメージ。正反対の意味を同じ動詞で表すなんてややこしいと思っていました。

しかし先日『パスポート初級フィンランド語辞典』を見ていたら、こんな例文が目にとまりました。

Minä pääsen kokouksen.

私は会議に出られる。

Hän pääsee työstä kello 6.

彼女は6時に仕事から出られる。

「パスポート初級フィンランド語辞典」

あっ!と思ったのは「出られる」の部分。これを見て日本語の「出る」という動詞にもフィンランド語の päästä と同じように「行く」と「離れる」という意味があることに気付きました。

「に、から」のような格助詞によってその意味が決まるという点も päästä と同じ。

この対応関係に初めから気付いていたら、päästä の用法がややこしいなんて思うことはなかったのかもしれません。

外国語として日本語を習っている人も「出る」という動詞に同じような違和感を感じているのでしょうか?

 

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