「増やす」と「殖やす」の違いとは?
この前、文章を書いていて「ふやす」を漢字変換しようとしたところ、意図していた「増やす」の他に「殖やす」という漢字もあることに気が付きました。
「増やす」と「殖やす」の違いとは何なのでしょう?
さっそく辞書を引いてみました。
ふやす[増やす](他五)
数や分量を〈大きくする/多くする〉。
「三省堂国語辞典 第七版」
ふやす[殖やす](他五)
〔財産を〕多くする。(↔減らす)
「三省堂国語辞典 第七版」
殖やすは財産を多くするという意味なんですね。たしかに殖という漢字からまっさきに連想したのはこんな言葉でした。
りしょく[利殖](名・自サ)
〘経〙〈利子/利益〉を得て財産をふやすこと。かねもうけ。
「三省堂国語辞典 第七版」
この利殖以外に「殖」で終わる単語にはどのようなものがあるだろう?と思い探してみると、次のような一覧ができました。
- がくしょく【学殖】
- かしょく【貨殖】
- せいしょく【生殖】
- ぞうしょく【増殖】
- たくしょく【拓殖】
- たんいせいしょく【単為生殖】
- はんしょく【繁殖】
- むせいせいしょく【無性生殖】
- ゆうせいせいしょく【有性生殖】
- ようしょく【養殖】
- りしょく【利殖】
「生殖、繁殖、養殖」という言葉からわかるとおり、これらの言葉の中の「殖」は必ずしも財産をふやすという意味ではありません。むしろ生き物をふやすという意味で使われているケースの方が多そうです。
財産をふやすことと生き物をふやすことを同じ漢字で表すのは単なる偶然なのか、深い意味があるのか。そんなことを考えてしまう言葉の一覧でした。