テンパったり、パニクったり − カタカナの動詞たち
何かわからないことがあれば、グーグルで検索するのがすっかり当たり前になってしまったこの頃。
「それなら人に聞くより、ググった方が速いよ。」なんて言うことも。
ググる
《俗語。「ググ」は「グーグル(Google)」の略》グーグルのサーチエンジンを使って言葉や画像を検索する。
『デジタル大辞泉』
こんな風にカタカナことばをするっと動詞に取り込んでしまうのは、日本語の柔軟なところ。
他にはどんなカタカナ動詞があったかな?と思い、調べてみました。
*語義はすべて『デジタル大辞泉』より。
サボる
《「サボタージュ」の略の「サボ」の動詞化》怠ける。怠けて休む。「仕事を―・る」 [可能]サボれる
サボるはフランス語の sabotage に由来しています。すっかり日本語に入り込んでいるので「さぼる」とひらがなで書いてもあまり違和感はないような。
スタンバる
《「スタンバイ」の動詞化》スタンバイする。準備する。用意ができる。「いつでも出掛けられるように―・っている」
英語の standby は「予備、待機状態」を意味する名詞。単に日本語に取り入れるだけでなく、動詞にまでしてしまうのはすごいですね。
テンパる
《「聴牌(テンパイ)」の動詞化》
1. マージャンで、聴牌になる。
2. 転じて、物事の成就直前である。
3. 俗に、余裕がなくせっぱ詰まっている。「彼女の前で―・って頭の中が真っ白になる」
マージャンを知っている人なら、すぐに思い浮かぶのは1の意味でしょう。しかし3の意味もずいぶん市民権を得てきたのではないでしょうか。
パニクる
《「パニック」の動詞化》慌てふためく。恐慌状態に陥る。「―・って返事ができなかった」
テンパっている程度ならまだよいのですが、パニクってしまうとかなり大変。手元の広辞苑第五版には、テンパるはのっていませんが、なぜかパニクるはのっています。
ハモる
《「ハーモニー」の略「ハモ」の動詞化》ハーモニーを奏でる。「合唱団がきれいに―・る」
ハモるはかなり昔から使われていたように思います。今回取り上げた中では、比較的きちんとした市民権が得られている動詞ではないでしょうか。
この他にも『デジタル大辞泉』には、こんなカタカナ動詞がのっていました。
- アジる
- コピる
- ダブる
- ディスる
- デモる
- トラブる
- ミスる
- メモる
探してみれば、他にもまだまだカタカナ動詞はあるはず。おそらくこれからもどんどん増えていくのでしょう。
こうして一覧を眺めてみると、日本語というのは本当におおらかな言語だなあと思います。
3月 21, 2014 @ 22:58:50
ロジャー・パルバースは,「驚くべき日本語」という本の中で語順を崩すと意味をなさなくなる英語などに比べ,日本語は飛びぬけて柔軟性のある言語だと言っています。
また,どんな言語でも母語以外の言語学をぼうとする人へのアドバイスも懇切丁寧に説明していて,日本語学習の易しさ,柔軟性によって,(英語のように)世界言語になるのは日本語だとも言っています。最近衝撃を受けた1冊でした。
ロジャー・パルバース著/早川敦子訳「驚くべき日本語」2014.1.29 集英社インターナショナル
3月 24, 2014 @ 19:21:20
おおー、面白そうな本をご紹介いただきありがとうございます。
このブログではフィンランド語について書くことが多いですが、あれこれ考えていると、いつの間にか日本語についてのエントリーになっていることもあります。
外国語として日本語を学んでいる人が、日本語をどのように見ているかというのは大変興味深いですね。ぜひ読んでみたいと思います。