フィンランド語学習記 vol.204 − フィンランド語に冠詞はないというものの(2)
きのうのエントリーの続き。
フィンランド語学習記 vol.203 − フィンランド語に冠詞はないというものの | Fragments
まずは昨日の例文のおさらいをしておきましょう。
Kadulla on auto.(There is a car in the street.)
*auto(車)、katu(通り)
この二つの文の違いは語順のみ。しかし、
上の文は「(話題になっているその)車は通りにある」(車=定)
下の文は「通りを見たら(見知らぬ一台の)車がある」(車=不定)
このような意味の違いが生じているというのが、昨日のお話でした。
それでは車が複数台あるときはどうなるのか?というのが、本日のお話。
さっそく『Finnish: An Essential Grammar』の記述を見てみましょう。
Non-divisible plural nouns with definite meaning take the ending -t.
「分けられない、複数の」名詞が「定」の意味を持っているときには、語末に[-t]を付ける。『Finnish: An Essential Grammar』P.122
「(話題になっているそれらの)車は通りにある」と言いたいときには、複数主格[-t]の形を用いるとのこと。
Kadulla ovat autot.(In the street are the cars.)
この場合は語順に関係なく「定」の意味になるんですね。
ここまでの内容をまとめると、フィンランド語の主語(分けられる名詞)は次のような形になります。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
定(話題になっている) | auto(単数主格) | autot(複数主格) |
不定(話題になっていない) | auto(単数主格) | ? |
それでは?の部分はどうなるのだろう?と思い、文法書を探したものの、なかなか情報を見つけられず。
。。。
それもそのはず、最後の1ピースは主格のページではなく、分格のページにのっていたのでした。
Plural subject nouns (non-divisible in the singular expressing an indefinite quality) appear in the partitive plural.
複数形の主語になる名詞は(不定の意味を持ち、分けられない名詞の場合には)複数分格の形になる。『Finnish: An Essential Grammar』P.132
「通りを見たら(見知らぬ数台の)車がある」 と言いたいときには、複数分格の形を用いるとのこと。
これでようやくさきほどの表が完成しました!
単数 | 複数 | |
---|---|---|
定(話題になっている) | auto(単数主格) | autot(複数主格) |
不定(話題になっていない) | auto(単数主格) | autoja(複数分格) |
フィンランド語の複数というのは実に深遠な世界だなあと改めて認識。文法書を読むのが、何よりも楽しい今日この頃です。
Routledge
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7月 04, 2014 @ 16:17:13
フィンランド語学習記、今回もまたまた教えてもらいました。
これまでは主語を分格で表しているケースを見ると、
「なんでここは分格なの~」って思っていましたが、次からは納得いきそうです。
たとえば、2人以上で混んでいるフードコートに行き、席が空いているか尋ねる時に
Ovatko nämä paikat vapaita?
というのはpaikkaが nämäで限定されているので複数主格…
Puusta putosi lehtiä.(葉が木から落ちた)の場合は、漠然と葉を指しているのでlehti分格なのですね。
レストランなどで人数を言う時に
Meitä on kolme. とmeが分格になるのも、今まで納得がいかなかったのですが、その延長でいいのかな。
それにしても、たかが主語、されど主語、深いですね。
7月 08, 2014 @ 01:30:53
Juokseva Nipsuさん
コメントありがとうございます。少しでもお役に立てたのなら嬉しいです!
おっしゃるとおりフィンランド語は主語一つとってみても、なかなか奥深いですね。
今回のエントリーではいわゆる「分けられる名詞」の方には全く触れていないので、そちらはそちらでもう一つの奥深い世界が広がっているのではないかと思います。
とにもかくにもお互い楽しみながら勉強して行きましょう。また遊びに来てください。