単語学習に関する二つのポイント − 文脈と類義語

先日のフィンランド語に関するエントリーで、osata と voida という二つの動詞の区別が難しいという話を書きました。

osata (能力的に)できる
voida (可能性として)できる

 
「能力=osada」「可能性=voida」と覚えようとしても、すぐにどちらがどちらかわからなくなってしまいます。

似たような単語は丸暗記をするよりも、文脈の中で覚えたほうがよいのかもしれません。

フィンランド語学習記 vol.98 − 似ているような、似ていないような | Fragments

その後、白井恭弘先生の『英語はもっと科学的に学習しよう』という本を読んでいたら、このあたりのことについて示唆に富む記述があったので、ここにメモしておきます。

言語知識にとって大事なのは、その前やあとにどのようなものがくるか、その情報なのです。言語を知っているということは、その言語の予測文法(expectancy grammar)を知っているということです。このことを考えれば、単語は文脈の中で覚えたほうが有意味学習になりますし、その後の応用もきくということがわかります。

あとは、最近の研究で、類義語をまとめて覚えるとあとから混乱してしまうというものがあります。類義語をまとめて覚えるのは、あまり効率がよくないのです。それよりは派生語を覚えるようにしたほうがいいでしょう。

P.161-162

今のところ、フィンランド語の語彙数はまだ少ないこともあり、単語帳を作成する際には例文をのせていません。

しかし実際に使える知識にするためには、そろそろ前後の単語とセットにしたり、「文」という単位で暗記したりする必要があるのかもしれません。

また類義語をまとめて覚えると混乱するというのも覚えておきたいポイントです。

試しに『フィン・日ポケット辞典』で「できる」を調べてみたところ、こんなにたくさんの単語がのっていました。

  • jaksaa
  • kyetä
  • mahtaa
  • osata
  • pystyä
  • pärjätä
  • saattaa
  • taitaa
  • voida
  • kykenevä

これらをまとめて覚えてしまおうとすれば、相当な混乱が生じることでしょう。

同じ(似たような)意味の単語が複数あるときには、使用頻度の高い単語をまず覚えて、それから周辺の単語を覚えていく。そして文脈の力を借りて、その微妙な違いを理解するという手順を踏めば、おそらく問題ないのではないかと思います。

今後の単語学習に生かしていきたいポイントです。