釣り銭と釣り札
先日ある定食屋さんに行ったときのこと。
券売機に一万円札を入れて、食券を買ったところ、
「釣り札をお取りください」
という音声アナウンスが流れました。
「釣り札」というのは改めて考えてみると面白い日本語。
「釣り銭」ではなく、わざわざ「釣り札」と表現するのはなぜなのでしょう?
想像できるのは「釣り銭をお取りください」と言った場合、お札を忘れて硬貨だけを持っていく人がいるのではないかということ。
つりせん[釣り銭](名)
代金より多いおかねを出されたときに、余った分だけもどすおかね。つり。おつり。
「三省堂国語辞典 第七版」
ここに示されているとおり、日本語の「釣り銭」というのは硬貨だけでなくお札も含めたおつり全般のことですが、銭=小銭という連想で、お札を忘れてしまう人がいるのかもしれません。
そういう意味で「釣り札をお取りください」というアナウンスは、そんなうっかりさんに配慮した表現と言えそうです。
この「釣り札」はいくらなんでも国語辞書には出ていないだろうなあ、、、と思いつつ、念のために調べてみると、何と見出し語になっているのを発見しました。
つりさつ[釣り札](名)
おつりとしてわたすお札。
「〔券売機の音声で〕ーをお取りください」
「三省堂国語辞典 第七版」
しかも例文が定食屋さんの券売機で聞いた音声アナウンスそのままです。
さすが三国。本当にあらゆる身の回りの日本語を拾っているんだなあと感心してしまいました。