2018年に読んで面白かった本10冊

2018年も最後の一日となりました。平成最後の年の瀬と思うと感慨深いものがあります。

今回のエントリーでは今年読んで面白かった本10冊を紹介してみたいと思います。

今年発売された本ではなく、あくまで今年読んだ本ですので、古い本も入っています。

それではさっそくいってみましょう。

 

『ロシア語だけの青春 ミールに通った日々』黒田龍之助著

外国語を学ぶ方法は人それぞれ。ただ本書には小手先ではない確かな語学力を身につけるための方法が、かつて存在したミールというロシア語学校のカリキュラムとして紹介されています。

語学学校というのは外国語を学ぶための場所であると同時に、同じ目標を持つ仲間と出会う場所でもあります。そんな「場」の魅力も伝えてくれる語学好きのための一冊です。

 

ロシア語だけの青春: ミールに通った日々
黒田 龍之助
現代書館
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『これ、食べていいの? ハンバーガーから森のなかまで ー 食を選ぶ力』マイケル・ポーラン著

今年は食に関する本をたくさん読みました。「食べる」ということが世界の環境に与えるインパクトは想像以上に強大です。

おそらく私たちの多くはそのことに気づいていても、日常の中で何となく見て見ぬ振りをしているのかもしれません。著者が取材する現代の食糧生産事情は想像以上にショックなものでした。

 

これ、食べていいの?: ハンバーガーから森のなかまで――食を選ぶ力
マイケル ポーラン
河出書房新社
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『青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記』高橋絵里香著

フィンランドのロヴァニエミにある高校への留学記。ブログでさんざんフィンランドのことを書いていながら、まだこの本を読んでいませんでした。

フィンランドのユニークな教育制度とそこで築いていく暖かな人間関係。中学生や高校生の頃の自分に読ませてあげたいなと思わずにはいられない素敵な一冊でした。

 

青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記
高橋 絵里香
講談社
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『日本と世界の塩の図鑑』青山志穂著

カルディや成城石井のようなお店に行くと、つい珍しい塩を買ってしまいます。せっかくなのできちんと塩について学んでみようと思い、本書を手に取りました。

次はどの塩を試してみようかな?なんて考えつつ、ページをめくる時間は楽しいものです。一時期、岩塩にはまっていましたが、最近はまた日本の伝統的な海水塩に戻ってきました。

 

日本と世界の塩の図鑑
日本と世界の塩の図鑑

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青山志穂
あさ出版 (2016-11-01)
売り上げランキング: 140,660

 

『NHK ことばのハンドブック 第2版』NHK放送文化研究所編

言葉というものは時間とともに変化していて、その正しい・正しくないの基準も時間とともに変化します。本書はそんなつかみどころのない日本語の今の姿をわかりやすく伝えてくれる貴重な一冊。

母語として知っている、使いこなせていると思っている日本語にも知らないことは多いのだなと気付かされます。

 

NHK ことばのハンドブック 第2版
NHK出版
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『終わりと始まり』ヴィスワヴァ・シンボルスカ著

ポーランドの詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカの代表的詩集。

戦争が終わるたびに
誰かが後片付けをしなければならない
物事がひとりでに
片づいてくれるわけではないのだから

難しい言葉が使われている訳ではありません。詩人の目を通してみたこの世界は時に暖かく、時に冷たく、私たちを新しい地平に連れて行ってくれます。

 

終わりと始まり
終わりと始まり

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ヴィスワヴァ・シンボルスカ
未知谷
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『山登り12ヵ月』四角友里著

こちらは9月のブログエントリーでも紹介した一冊。夜寝る前に読む山の本は一服の清涼剤。ビジネス書や小説を読むよりも寝つきが良くなります。

晴れた日には山へ登り、雨の日には山の本を読む。そんな晴耕雨読の日々にあこがれます。

 

山登り12ヵ月 四角友里
山登り12ヵ月 四角友里

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四角 友里
山と渓谷社 (2018-06-18)
売り上げランキング: 73,865

 

『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー著

今年はついに念願の作品を読むことができました。もし若い頃に読んでいたらアリューシャに肩入れして読んでいたと思うのですが、それなりに歳を重ねた今はミーチャことドミートリイに肩入れして読んでいました。

汲めども尽きない人間の心の声。その過剰さ。こんなむきだしの人間を描き出すことができるのはやはり小説だけなのだろうと思います。

 

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
光文社 (2012-02-10)
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カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
ドストエフスキー
光文社
売り上げランキング: 17,391

 

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
ドストエフスキー
光文社
売り上げランキング: 14,978

 

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
ドストエフスキー
光文社
売り上げランキング: 14,636

 

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)
ドストエフスキー
光文社
売り上げランキング: 17,994

 

『山の家クヌルプ』エクリ編

霧ヶ峰高原の山小屋クヌルプ・ヒュッテを60年に渡って運営してきたご主人夫妻、関わったスタッフ、ゲストの記憶を辿って構成した山小屋の歴史。

ここに流れているのはゆっくりとした時間。読んでいて気持ちが安らぐのは、世俗の価値観から離れた世界に魅力を感じているからなのでしょうか。昨年、霧ヶ峰を訪れていたので、そのときに出会った風景を思い出しながら読みました。

山歩きのきろく(2)− 青と緑の霧ヶ峰[2017.09]

山の家クヌルプ

 

『新版 歎異抄 ー 現代語訳付き』千葉乗隆翻訳

仏教の本が好きでよく読んでいます。今年の後半は歎異抄を繰り返し読んでいました。

弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとへに、親鸞一人がためなりけり。

阿弥陀さまが、五劫という永いあいだお考えになって、すべてのいのちあるものを救おうとしてたてられた誓願を、よくよく考えてみますと、それはひとえに、この親鸞一人を救ってくださるためでした。

短い本のあちこちに顔を覗かせる親鸞という人の人間らしさと奥深さ。何度でも読みたくなり、繰り返し手に取ってしまいます。

 

新版 歎異抄―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
角川書店
売り上げランキング: 56,145

 

まとめ

以上、今回のエントリーでは今年読んで面白かった本10冊を紹介してみました。

2018年は個人的に様々な環境の変化がありました。限られた時間の中で手に取ることができた本との出会いに改めて感謝したいと思います。

それではよいお年をお迎えください。