フィンランド語学習記 vol.228 − 具格と接格
フィンランド語教室77週目のレポート。
今回は以前習った動名詞のおさらいをしつつ、教科書をどんどん読み進めていきます。
フィンランド語学習記 vol.217 − 動名詞の作り方 | Fragments
すると、こんな文に出会いました。
Menen aina jalan työhön.(私はいつも歩いて仕事へ行きます。)
*mennä(行く)、aina(いつも)、jalka(足)、työ(仕事)
*mennä(行く)、aina(いつも)、jalka(足)、työ(仕事)
今回のポイントは前から3番目にある jalan という単語。
[主格]jalka(足)
[具格]jalan(徒歩で)
[具格]jalan(徒歩で)
具格[-n]というのは「〜で、〜を使って」という意味を表わす格変化。
先生曰く、現在ではこの意味を表すのに接格[-llA]を使うことの方が多いそうです。
よって具格というのは、慣用表現以外ではあまり使われない格なのだとか。
たしかにさきほどの文、もし徒歩ではなく電車で仕事へ行くなら次のような形になります。
Menen aina junalla työhön.(私はいつも電車で仕事へ行きます。)
*juna(電車)
*juna(電車)
[主格]juna(電車)
[接格]junalla(電車で)
[接格]junalla(電車で)
このように接格で「手段」を表わすことができるなら、確かにわざわざ具格を用いる必要はないのかもしれません。
しかしこの具格という形が何となく気になったので、家に帰って『フィンランド語文法ハンドブック』を調べてみると、こんな例文がのっていました。
Haluan kirjoittaa käsin enkä tietokoneella.(私はコンピュータでなく手で書きたい。)
*haluta(〜したい)、kirjoittaa(書く)、käsi(手)、tietokone(コンピュータ、パソコン)
*haluta(〜したい)、kirjoittaa(書く)、käsi(手)、tietokone(コンピュータ、パソコン)
この文では「手で」を意味する käsin は複数具格、「コンピュータで」を意味する tietokoneella は単数接格の形になっています。
[単数主格]käsi(手)
[複数具格]käsin(手で)
[単数主格]tietokone(コンピュータ)
[単数接格]tietokoneella(コンピュータで)
[複数具格]käsin(手で)
[単数主格]tietokone(コンピュータ)
[単数接格]tietokoneella(コンピュータで)
昔ながらの手書きは古い形(具格)、最新のコンピュータ入力は新しい形(接格)というのは何だかおもしろい組み合わせですね。
こんな例文を見ると、具格という珍しい形にもちょっとした愛着が湧いてきます。
9月 01, 2014 @ 21:28:50
jalan も käsin も 辞書にそのまま載っていましたので副詞だと思っていました。
それにしても jalan は jalka の属格と同じ綴りですので、ややこしいですね。
「慣用表現以外ではあまり使われない」とありますので、英語の学習で熟語を必死で覚えたように、決まり文句として覚えた方が良いのかもしれませんね。
ところで、私が持っているテキストには複数具格形のつくりかたは載っていましたが、単数具格のつくりかたは載っていませんでした。
今度、機会があったらブログでとりあげてください。
9月 07, 2014 @ 20:35:54
Juokseva Nipsuさん
なるほど! たしかに jalan も käsin もそのまま辞書にのっていますね。よく使う表現なら、そのまま覚えてしまった方が良いのでしょう。
具格というのは、格変化の表を見ると複数形だけのっていることが多いですよね。調べてみたら単数具格の形を持っている単語はごくわずかで、jalka はその数少ない例外のようです。また何かわかったらブログでも取り上げてみますね。