「舌鼓」は何と読む?
「舌鼓を打つ」などと言うときの「舌鼓」はいったい何と読みますか?
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国語辞書を見てみましょう。
したつづみ[舌鼓](名)
おいしいものを食べて、舌をちゅっと鳴らすこと。〔「したづつみ」とも〕
「ーを打つ」
「三省堂国語辞典 第七版」
私はこれまで「舌鼓」を「したづつみ」と読んでいたのですが、見出し語は「したつづみ」となっています。
説明の中に「したづつみ」も示されているとはいえ、「したつづみ」が標準というのは意外でした。
調べてみると、こんな風に語中の音が入れ替わってしまう現象を言語学では「音位転換(おんいてんかん)」と呼ぶそうです。
Wikipedia には、
- あらたしい → あたらしい
- あきばはら → あきはばら
のような例が出ていました。
ただこれらの例はもともと「あらたしい、あきばはら」という発音だったものが、現在私たちに馴染みのある「あたらしい、あきはばら」に音位転換したということであり、現在もとの「あらたしい、あきばはら」という発音を聞くことはありません。
その点「したつづみ/したづつみ」の両方が生きている「舌鼓」は珍しい例と言えるでしょう。
しかし他の例を見る限り「したつづみ → したづつみ」のような転換は「旧→新」の一方通行で、ひとたび変化してしまったらもう古い発音へ戻ることはないようにも見えます。
ということは辞書の見出し語が「したづつみ」になり、「したづつみ」は歴史の陰に消えてしまう、そんな日がいつかやってくるのでしょうか?
三省堂国語辞典 第七版
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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