「あい」と「あゐ」の違いとは?

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日本語にはさまざまな同音異義語があります。「愛」と「藍」もその組み合わせの一つ。

あい【愛】

  1. 親子・兄弟などがいつくしみ合う気持ち。また、生あるものをかわいがり大事にする気持ち。「―を注ぐ」
  2. 異性をいとしいと思う心。男女間の、相手を慕う情。恋。「―が芽生える」
  3. ある物事を好み、大切に思う気持ち。「芸術に対する―」
  4. 個人的な感情を超越した、幸せを願う深く温かい心。「人類への―」
  5. キリスト教で、神が人類をいつくしみ、幸福を与えること。また、他者を自分と同じようにいつくしむこと。→アガペー
  6. 仏教で、主として貪愛(とんあい)のこと。自我の欲望に根ざし解脱(げだつ)を妨げるもの。

あい〔あゐ〕【藍】

  1. タデ科の一年草。高さ50~80センチ。茎は紅紫色で、葉は長楕円形。秋、穂状に赤い小花をつける。葉・茎から藍染めの染料をとり、京都・大坂・阿波が産地として知られた。果実は漢方で解熱・解毒に使う。古く中国から渡来したとされる。たであい。あいたで。《季 花=秋》「この村に減りし土蔵や―の花/秋郷」
  2. 濃青色の天然染料の一。1や木藍(きあい)などの葉や幹から得られる。インジゴ。
  3. 藍色(あいいろ)。

『大辞泉』

それぞれの語義はさておき、ここで注目したいのは、藍の方の仮名には「あい」と「あゐ」の二種類が当てられていること。

現在ではもちろん「あい」と表記しますが、昔は「あゐ」と表記していたんですね。

調べてみると、平安時代のころまでは、「い」はア行のイ、「ゐ」はワ行のヰとして区別されていたのだそうです。(ゐのカタカナはヰ)

これはつまり、「い」は[i]、「ゐ」は[wi]と発音されていたということを意味しています。

次のように五十音を並べてみると「ゐ」の位置付けがよくわかるのではないでしょうか。

w r y m h n t s k -
a
i
u
e
o

 
あゐ(藍)のほか、「ゐ」を使う(使った)単語には次のようなものがあります。

  • あぢさゐ(紫陽花)
  • ゐど(井戸)
  • ゐなか(田舎)
  • くれなゐ(紅)

これらの単語も昔は「あじさうぃ」「うぃど」「うぃなか」「くれなうぃ」と読んだのでしょうか?

そうだとすると、心なしか外国語のような音にも聞こえます。ウイスキーに「ヰスキー」という字を当てたのは、まさにぴったり。

この時代の会話が録音されていたら、どんなにおもしろいだろうと思いますが、それはかなわない夢ですね。