フィンランド語学習記 vol.505 − 見つかる、見つける

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次の文を比較してみましょう。

Lompakko löytyi kadulta.(道で財布が見つかった。)

Pojat löysivät lompakon kadulta.(少年たちは道で財布を見つけた。)

「Tarkista Tästä」P.79

löytyi は「見つかる」を意味する自動詞 löytyä の三人称単数過去形。

löysivät は「見つける」を意味する他動詞 löytää の三人称複数過去形。

まずはそれぞれの語形変化をお楽しみください。

löytyä löytää
一人称単数現在 löydyn löydän
二人称単数現在 löydyt löydät
三人称単数現在 löytyy löytää
一人称複数現在 löydymme löydämme
二人称複数現在 löydytte löydätte
三人称複数現在 löytyvät löytävät
一人称単数過去 löydyin löysin
二人称単数過去 löydyit löysit
三人称単数過去 löytyi löysi
一人称複数過去 löydyimme löysimme
二人称複数過去 löydyitte löysitte
三人称複数過去 löytyivät löysivät

 

さてここからが本題。

フィンランド語にはこの löytyä と löytää のように自動詞・他動詞が対になった単語が多く見られます。

一方、英語にはこの自動詞に当たる単語が存在しないケースもあります。

そのため冒頭の例文を自然な英文に訳そうとすれば次のようになるでしょう。

A wallet was found on the street.
The boys found a wallet on the street.

英語には löytyä に当たる自動詞がないので、be found と受動態を使って表すことになります。

改めて日本語、英語、フィンランド語の関係を整理してみましょう。

日本語 見つかる 見つける
フィン語 löytyä löytää
英語 be found find

 

こうして見ると、日本語とフィンランド語は語彙のあり方が似ており、英語は違っているということがわかります。

にもかかわらず、例えば「道で財布が見つかった」という内容をフィンランド語で表現しようとしたときに、A wallet was found on the street. のような英語の構造を思い浮かべてしまったという経験はありませんか?

日本語に「見つかる」という自動詞があるにもかかわらず、わざわざ英語の be found を連想してしまうということは、やはり第三言語(フィンランド語)を学ぶときには第二言語(英語)の影響が強く現れるということなのだと思います。

*以前にそのあたりの内容をまとめた記事はこちら。
Finnish as a third language − 第三言語としてのフィンランド語習得を考える

細かい話ではありますが、そんなところにちょっとした語学の難しさを感じている今日この頃です。