Waltzing Matilda − the unofficial national anthem of Australia

Waltzing Matildaはオーストラリアで最も愛されている曲の一つ。英語版のWikipediaでは the unofficial national anthem of Australia(オーストラリアの非公式国歌)と紹介されています。

例えば、オーストラリア代表のラグビーの試合を見に行くと、試合前に国歌であるAdvance Australia Fairを斉唱します。(これは当然)

その後、リラックスした雰囲気の中で、ちょっとラフな格好のギター奏者が出てきて、Waltzing Matildaを弾き語りで歌うということがよくありました。

何となく郷愁を誘うそのメロディがとてもいいのです。オーストラリアといえばこの曲というくらいに忘れられない曲の一つです。

 

この曲の由来は19世紀までさかのぼります。

1895年に同国のジャーナリストのバンジョー・パターソンが、クリスティナ・マクファーソン (Christina Macpherson) という女性の歌ったメロディに歌詞を施したものである。マクファーソンの歌ったメロディは、1894年に彼女が聴いた「なんじクレイギリーの美しき森よ」(“Thou Bonnie Wood Of Craigielea”) というスコットランドの民謡に基づくものとされている。

wikipedia「ワルチング・マチルダ」より

バンジョー・パターソンは、オーストラリアの10ドル札の表面に登場しており、数字の10の後ろをよく見るとWaltzing Matildaの文字が見えます。

このパターソンが書いた歌詞というのが、かなり風変わりで、簡単に言えば、羊泥棒をした放浪者が警察に捕まりそうになり、沼に飛び込んで自殺するというものです。

そんな内容の歌が国民歌になるのか?と思われるかもしれませんが、まだ若い国オーストラリアの開拓時代の心意気や反骨精神を受け継いだものと考えれば少しは納得できるのではないでしょうか。

そしてこの歌にはオーストラリアのスラングもたくさん出てきます。最初の4行を抜粋してみましょう。

Once a jolly swagman camped by a billabong
Under the shade of a coolibah tree
And he sang as he watched and waited till his billy boiled
You’ll come a’waltzing Matilda with me.

スラングの意味は下記のとおり。

swagman(放浪者)
billabong(沼)
billy(湯沸し用の缶)
waltzing Matilda(含意:毛布一つで渡り歩く)

ということで、この部分を訳してみるとこんな感じでしょうか。

昔、陽気な放浪者が沼の近くで野宿した
ユーカリの木の陰で
そしてお湯が沸くのを待ちながら歌った
俺といっしょに来るんだな、ワルツィングマチルダよ。

ちなみにswagmanとbillyを英辞郎で引いてみると、こんな意味がのっています。

swagman〈豪〉路上生活者、渡り労働者
billy〈豪〉キャンプ用湯沸かし容器 ◆路上生活者[ホームレス]の必需品でもある◆

開拓時代の放浪者も今はホームレスということでしょうか。

オーストラリアのスラングには本当に面白いものが多いので、機会があればまた紹介してみたいと思います。