ghost word(幽霊語)

17031201

私たちが国語辞典や英語辞典を使うとき、そこに書いてある内容は「正しい」という前提で眺めることがほとんどだと思います。

そんな私たちの思い込みに一石を投じるのが ghost word の存在です。

ghost word

A word recorded in a dictionary or other reference work which is not actually used.

Oxford Dictionaries

ghost word というのは「辞書にのっているのに、実際には存在しない単語」のこと。

有名な例としては、1934年に出版された『Webster’s New International Dictionary』の第2版に収録された dord という単語があります。

Wikipedia の dord の項目によると、化学用語の編集者であった Austin M. Patterson という人が “D or d, cont./density.”(density という単語を D の項目に入れる)とメモ書きしておいたところ、その “D or d” の部分が dord という単語として誤認識されてしまったのだそうです。

別の編集者が「この単語はおかしい」と気付いたのは1939年だったそうですから、実に5年間も放置されていたことになります。(なお dord が辞書から削除されたのはさらに先の1947年とのこと。)

ただ改めて考えてみると、私たちが辞書を使うとき「探している単語がのっていない」というのはよくあることですが、すでにのっている単語に対して「この単語はおかしいのでは?」と疑うのは、余程の教養と感性がないと難しいように思います。

そういう意味では、誤ってのせてしまったことをどうこう言うより、その誤りに気付いた編集者こそすごい!と言えるのではないでしょうか。