フィンランド語学習記 vol.389 − 形容詞の比較変化(1)

photo credit: Lightness via photopin (license)

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今回から数回に分けて、フィンランド語の比較変化についてまとめていきたいと思います。

比較変化と聞けば、中学校で習った英語の比較級[-er]と最上級[-est]を思い出す人も多いのではないでしょうか。

フィンランド語にも英語の[-er][-est]に相当する接尾辞はありますが、その周辺には少し複雑なルールもあるようです。

またフィンランド語の場合、形容詞と副詞で比較級・最上級の作り方が異なるため、まずは形容詞の方から見ていきたいと思います。

 

形容詞の比較級・最上級

まずは形容詞の比較級・最上級をいくつか拾ってみました。

原級 比較級 最上級
helppo(簡単な) helpompi helpoin
vanha(古い) vanhempi vanhin
rikas(豊かな) rikkaampi rikkain
kaunis(美しい) kauniimpi kaunein

 

このリストから比較級の印は [-mpi]、最上級の印は[-in]であることがわかります。

続いて、これらの比較級・最上級の形を求めるための手順を見ていきましょう。

 

形容詞の比較級の作り方

形容詞の比較級を求めるための手順は以下のとおり。

helppo(簡単な)

helppo 1)単数語幹を求める helppo
helpo
helppo
helpo
2)kpt の変化を伴う単語では弱形の語幹を使用 helpo
helpo 3)2音節の語では語末の[-a/-ä]が[e]に変化する
*今回は語末が[-o]なのでそのまま
helpo
helpo 4)語幹に比較級の印[-mpi]を付ける helpompi
vanha(古い)

vanha 1)単数語幹を求める vanha
vanha 2)kpt の変化を伴う単語では弱形の語幹を使用
*今回は kpt の変化なし
vanha
vanha 3)2音節の語では語末の[-a/-ä]が[e]に変化する vanhe
vanhe 4)語幹に[-mpi]を付ける vanhempi

 

形容詞の最上級の作り方

形容詞の最上級を求めるための手順は以下のとおり。

rikas(豊かな)

rikas 1)単数語幹を求める rikkaa
rikkaa 2)kpt の変化を伴う単語では弱形の語幹を使用
*今回は kpt の変化なし
rikkaa
rikkaa 3ー1)語末の長母音は短母音に変化する
3ー2)語末の[-e][-a/-ä]は消える
3ー3)語末の[-i][-ii]は[-e]に変化する
*今回は(3ー1)のルールを適用
rikka
rikka 4)語幹に[-in]を付ける rikkain
vanha(古い)

vanha 1)単数語幹を求める vanha
vanha 2)kpt の変化を伴う単語では弱形の語幹を使用
*今回は kpt の変化なし
vanha
vanha 3ー1)語末の長母音は短母音に変化する
3ー2)語末の[-e][-a/-ä]は消える
3ー3)語末の[-i][-ii]は[-e]に変化する
*今回は(3ー2)のルールを適用
vanh
vanh 4)語幹に[-in]を付ける vanhin
kaunis(美しい)

kaunis 1)単数語幹を求める kaunii
kaunii 2)kpt の変化を伴う単語では弱形の語幹を使用
*今回は kpt の変化なし
kaunii
kaunii 3ー1)語末の長母音は短母音に変化する
3ー2)語末の[-e][-a/-ä]は消える
3ー3)語末の[-i][-ii]は[-e]に変化する
*今回は(3ー3)のルールを適用
kaune
kaune 4)語幹に[-in]を付ける kaunein

 

まとめ

以上、今回は形容詞の比較級・最上級の作り方についてまとめてみました。

比較級と最上級で語末の処理方法が異なるという点は慣れるまでやっかいかもしれません。

比較級 2音節の語では語末の[-a/-ä]が[e]に変化する vanha → vanhe
最上級 語末の長母音は短母音に変化する rikkaa → rikka
語末の[-e][-a/-ä]は消える vanha → vanh
語末の[-i][-ii]は[-e]に変化する kaunii → kaune

 

特に vanha(古い)のように[-a/-ä]で終わる単語は、混同しやすいので注意が必要です。

長くなったので、今回はここまで。明日のエントリーでは、この比較級・最上級を用いた文章表現を見ていきたいと思います。