フィンランド語学習記 vol.682 − フィンランド語の不定詞まとめ
今回はこれまでに習ってきたフィンランド語の不定詞について、ざっと全体像をまとめてみたいと思います。
第1不定詞
フィンランド語の第1不定詞には短形と長形という二つの形があります。
第1不定詞短形 | syödä | 食べる |
---|---|---|
第1不定詞長形 | syödäksemme | (私たちが)食べるために |
短形というのはいわゆる辞書形のこと。一方、長形は「〜が〜するために」という意味を表します。
(私たちは食べるために生きているのではなく、生きるために食べている。)
syödäksemme の[-mme]は一人称複数の所有接尾辞。よって人称によって次のように変化します。
一人称単数 | syödäkseni | [-ni] |
---|---|---|
二人称単数 | syödäksesi | [-si] |
三人称単数 | syödäkseen syödäksensa |
[-Vn] [-nsA] |
一人称複数 | syödäksemme | [-mme] |
二人称複数 | syödäksenne | [-tte] |
三人称複数 | syödäkseen syödäksensa |
[-Vn] [-nsA] |
第1不定詞長形の作り方
1)辞書形(第1不定詞短形)に格語尾[-ksi]を付ける。
2)所有接尾辞を付ける。それに伴って格語尾が[-ksi]から[-kse]に変化する。
第2不定詞
フィンランド語の第2不定詞には内格と具格という二つの形があります。
第2不定詞内格 | tullessa | 来るとき |
---|---|---|
第2不定詞具格 | itkien | 泣きながら |
第2不定詞内格
第2不定詞内格は時相構文と呼ばれる構文で用い、「〜しているとき」という意味を表します。
= Kun Mikko tuli kotiin, Leena oli jo nukkumassa.
(ミッコが家に帰ったとき、レーナはもう眠っていた。)
第2不定詞内格の作り方
1)辞書形語尾の[-A]を外す。
2)格語尾[-essA]を付ける。
【例外】[eA]で終わる単語は[e]を[i]に変えて[-essA]を付ける。
第2不定詞具格
第2不定詞具格は「〜しながら」という意味を表します
(イーダは泣きながら、家に帰ってきた。)
第2不定詞具格の作り方
辞書形語尾の[-A]を[-en]に変える。
【例外】[-eA]で終わる単語は[e]を[i]に変えて[-en]を付ける。
第3不定詞
フィンランド語の第3不定詞には内格、出格、入格、接格、欠格という五つの形があり、それぞれ次のような意味を表します。
第3不定詞内格 | lukemassa | 読んでいる途中で |
---|---|---|
第3不定詞出格 | lukemasta | 読んでから |
第3不定詞入格 | lukemaan | 読みに |
第3不定詞接格 | lukemalla | 読むことによって |
第3不定詞欠格 | lukematta | 読まずに |
(私は図書館で本を読んでいます。)
Pekka tulee kirjastosta lukemasta kirjaa.
(ペッカは図書館で本を読んでから来る。)
Liisa menee kirjastoon lukemaan kirjaa.
(リーサは図書館へ本を読みに行く。)
第3不定詞の作り方
1)動詞の三人称複数[-vAt]の形を求める。
2)[-vAt]を外して格語尾[-mAssA][-mAstA][-mAAn][-mAllA][-mAttA]を付ける。
第4不定詞(動名詞)
第4不定詞(動名詞)は「〜すること」という意味を表します。
第4不定詞(動名詞)主格 | syöminen | 食べることは |
---|---|---|
第4不定詞(動名詞)分格 | syömistä | 食べることを |
(食べることは楽しい。)
第4不定詞(動名詞)の作り方
第4不定詞(動名詞)の作り方はさきほどの第3不定詞と同じです。
1)動詞の三人称複数[-vAt]の形を求める。
2)[-vAt]を外して格語尾[-minen][-mistA]を付ける。
第5不定詞
第5不定詞は「〜しようとしている」という意味を表します。
第5不定詞 | loppumaisillaan | 終わろうとしている |
---|
(授業は終わろうとしているところだった。)
loppumaisillaan の[-an]は三人称の所有接尾辞。よって人称によって次のように変化します。
一人称単数 | loppumaisillani | [-ni] |
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二人称単数 | loppumaisillasi | [-si] |
三人称単数 | loppumaisillaan loppumaisillansa |
[-Vn] [-nsA] |
一人称複数 | loppumaisillamme | [-mme] |
二人称複数 | loppumaisillanne | [-tte] |
三人称複数 | loppumaisillaan loppumaisillansa |
[-Vn] [-nsA] |
第5不定詞の作り方
第5不定詞の作り方はさきほどの第3・第4不定詞と同じ手順に、所有接尾辞を付けるだけです。
1)動詞の三人称複数[-vAt]の形を求める
2)[-vAt]を外して格語尾[-mAisillA]を付ける
3)所有接尾辞を付ける。
まとめ
以上、今回はこれまでに習ってきたフィンランド語の不定詞について、ざっと全体像をまとめてみました。
第1不定詞短形 | syödä | 食べる |
---|---|---|
第1不定詞長形 | syödäksemme | (私たちが)食べるために |
第2不定詞内格 | tullessa | 来るとき |
第2不定詞具格 | itkien | 泣きながら |
第3不定詞内格 | lukemassa | 読んでいる途中で |
第3不定詞出格 | lukemasta | 読んでから |
第3不定詞入格 | lukemaan | 読みに |
第3不定詞接格 | lukemalla | 読むことによって |
第3不定詞欠格 | lukematta | 読まずに |
第4不定詞(動名詞)主格 | syöminen | 食べることは |
第4不定詞(動名詞)分格 | syömistä | 食べることを |
第5不定詞 | loppumaisillaan | 終わろうとしている |
こうして並べてみると、ずいぶん様々な形を覚えてきたなあと思います。
このうち使用頻度が高いのはおそらく第3不定詞と第4不定詞。
あとは時相構文で使われる第2不定詞内格も読める(=見分けられる)ようになっておきたいところです。