フィンランド語学習記 vol.206 − ヘルシンキに行ったり、ヘルシンキを訪れたり
フィンランド語教室71週目のレポート。
今回の内容で印象に残ったのは käydä(訪れる)という動詞の使い方について。
まずは次の文をご覧ください。
1)Minä menen Helsinkiin.(私はヘルシンキへ行きます。)
2)Minä käyn .(私はヘルシンキを訪れます。)
*mennä(行く)、käydä(訪れる)
2)Minä käyn .(私はヘルシンキを訪れます。)
*mennä(行く)、käydä(訪れる)
1の文において、ヘルシンキは「〜の中へ」を意味する入格の形になっています。
[主格]Helsinki(ヘルシンキは)
[入格]Helsinkiin(ヘルシンキの中へ)
[入格]Helsinkiin(ヘルシンキの中へ)
それでは2の文において、ヘルシンキはどのような形になるでしょう?
普通に考えれば、分格・入格・向格あたりが候補になるのではないかと思います。
フィン | 日 | |
---|---|---|
主格 | Helsinki | ヘルシンキは |
属格 | Helsingin | ヘルシンキの |
分格 | Helsinkiä | ヘルシンキを |
内格 | Helsingissä | ヘルシンキの中に |
出格 | Helsingistä | ヘルシンキの中から |
入格 | Helsinkiin | ヘルシンキの中へ |
接格 | Helsingillä | ヘルシンキの上に |
離格 | Helsingiltä | ヘルシンキの上から |
向格 | Helsingille | ヘルシンキの上へ |
しかし正解はこちら。
Minä käyn Helsingissä .(私はヘルシンキを訪れます。)
[主格]Helsinki(ヘルシンキは)
[内格]Helsingissä(ヘルシンキの中に)
この形にはやや違和感を感じてしまうというのが正直なところ。
[内格]Helsingissä(ヘルシンキの中に)
フィンランド語の内格[-ssA]というのは、もともと「〜の中に」という位置を表すための格。
一方、日本語の格助詞「に」には「へ」と同じような目標点/到達点の意味もありますが、フィンランド語の内格[-ssA]にはそのような意味はないものと思っていました。
<参考>
・ヘルシンキ「に」行く(目標点/到達点)
・ヘルシンキ「に」いる(位置)
・ヘルシンキ「に」行く(目標点/到達点)
・ヘルシンキ「に」いる(位置)
そう考えると「訪れる」という動作と「Helsingissä」という位置の表示はどうも噛み合わせが悪いような気がします。
とはいえ「そうなっているから、そうなっている」ということで、そのまま覚えるしかありません。
出格 | 内格 | |
---|---|---|
ヘルシンキへ行く | ◯ mennä Helsinkiin | × mennä Helsingissä |
ヘルシンキを訪れる | × käydä Helsinkiin | ◯ käydä Helsingissä |
しかしとっさに話すときには、どうしても間違ってしまいそう。
何か納得のいく説明はないものでしょうか??
7月 09, 2014 @ 05:03:25
もちろん例外はありますが、käydä は 〜ssa/ssä と決まっていると習いました(笑)
テストでも必ず出るポイントでもあります。
käydäは「行って戻って来る(短期間、短時間)」という感じがありますよね。例えば
käyn ruokakaupassa (スーパーに行く)、käyn suihkussa (シャワーに行く)
旅行でどこかに行くのも仰るとおりkäydäで。
逆にmennäは「行く(いつ戻って来るかわからない又は戻って来ない)」とでも言いますか….。
menen kotiin (家に行く)、hän meni Ruotsiin eilen (彼は昨日スウェーデンに行った、向かった)とか… 良い例が浮かばないですけども(笑)
私も頭ではわかっていても実際はkäydäでいい所をmennäと言ったり日々混乱してます〜。
7月 11, 2014 @ 11:23:55
latelammasさん
なるほど〜、これはテストで出るポイントだったんですね(笑)。たしかに自分がテストをする側だったら、出題したくなるかも。
「◯◯へ行って戻って来る」ということは、その短い時間に「◯◯に滞在する」という含みがあるので、それで[-ssA]なんでしょうか?「行く」とか「訪れる」という日本語との対応で覚えてしまうと、とっさに[-ssA]をつなげるのはなかなか難しいですよね。ホント混乱してしまいます。
7月 11, 2014 @ 23:45:56
käydäはlatelammasさんがご指摘のとおり,行くだけでなく戻ってくることも含んだ動詞です。そのような時,日本語では「行って来る」と言いますね。
Kävin eilen Madridissa. (ssA,昨日私はマドリードに行って来ました[今はフィンランドです]。)
käydä kirkossa, sunnuntaijumalanpalveluksessa(ssA,日曜のミサに[毎週]通う)
käydä kaupassa. (ssA,買い物に行って来る)
Odota hetki, käyn vessassa. (ssA,ちょっと待って!トイレに行って来る。)
-ssAばかりとは限りません。
Osaako pikku-Pekka käydä itse kakalla?(llA,ペッカちゃんは一人でうんちできる?)
Mennään käymään kahvilla.(käydäが第3不定詞入格,コーヒー飲みに行こう。)
Milloin tulet käymään luonamme? (同上,いつ私共においでになりますか?)
Taas ruusut käy kukkimaan(また[今年も]バラが咲いている。♪「百万本のバラ」の出だし,https://www.youtube.com/watch?v=Qoa-gg2vgzA)
Käyn lukiota.(分格,私は高校に通っています。)
Kävin kaksi vuotta lukiota. (分格,私は2年間高校に通いました。)
Kävin lukion Jyväskylässä.(対格,私は高校はユヴァスキュラで通ってました。)
Olut käy.(ビールが発酵している。フィンランドでは自家醸造ビールOKです。)
Moottori ei käy hyvin.(エンジンがうまくかかりません。)
Avain käy lukkoon. (鍵が錠に合う。)
という風にまだまだありますので,käydä=行ったり来たり,上下,左右に繰り返すこと,と憶えておくといいのかな?と思います。
7月 17, 2014 @ 00:57:01
Jussiさん
たくさんの例文、ありがとうございます! käydä というのはずいぶん幅広い用法を持った動詞なんですね。
高校などに「通う」ときには、一時的に「訪問する」ときとは異なる論理が適用されるということなのでしょうか?
英語や日本語に似たような動詞がないので、なかなかイメージがつかみづらいところもあるのですが、まずはJussiさんがおっしゃるとおり「行ったり来たり」を基本イメージとして覚えておきたいと思います。