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フィンランド語 /
「私は映画が好き」というフィンランド語を書こうとしたら、思いのほか手こずってしまったので、備忘録として手順を書き記しておきたいと思います。
英語ならシンプルに I like movies. ですが、フィンランド語だとこれがなかなか複雑。
1)私は
フィンランド語で「私は」は minä(ミナ)。
しかしフィンランド語では多くの場合、一人称・二人称の代名詞主語は省略されます。
よって今回も主語は省略!ということで次へ行きましょう。
2)好き
フィンランド語で「好き」は tykätä(テュカタ)。
ただしこれは原形(辞書形)なので、一人称単数の形に直す必要があります。
まずは動詞のタイプを確認。
タイプ1 |
2つの母音で終わる動詞 |
タイプ2 |
[dA]で終わる動詞 |
タイプ3 |
[lA, nA, rA, stA]で終わる動詞 |
タイプ4 |
[AtA, OtA, utA]で終わる動詞 |
タイプ5 |
[itA]で終わる動詞 |
タイプ6 |
[etA]で終わる動詞 |
*大文字の[A]は[a/ä]のいずれかという意味。
tykätä は[-ätä]で終わっているので、タイプ4の動詞ということになります。
タイプ4の動詞を人称変化させる手順は次のとおり。
2−1)語末の[-t-]を外す。
tykätä → tykää
2−2)kpt交替のチェック
tykää の最後の音節[-kää]には[k]が含まれているので、子音の変化が起こる可能性があります。
よって変化表を見てみましょう。タイプ4の場合は左←右の変化を考えます。
kk |
←→ |
k |
k |
←→ |
× |
uku |
←→ |
uvu |
yky |
←→ |
yvy |
nk |
←→ |
ng |
lke |
←→ |
lje |
rke |
←→ |
rje |
hke |
←→ |
hje |
pp |
←→ |
p |
p |
←→ |
v |
mp |
←→ |
mm |
tt |
←→ |
t |
t |
←→ |
d |
nt |
←→ |
nn |
lt |
←→ |
ll |
rt |
←→ |
rr |
一番上に「kk←k」という変化があるので、次のとおり活用します。
tykkää ← tykää
2−3)人称ごとの活用語尾を付ける
ここまで来ればあとは簡単。作りたい人称の語尾を語末に付けます。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
-n |
-mme |
二人称 |
-t |
-tte |
三人称 |
母音を重ねる |
-vat/-vät |
今回作りたいのは一人称単数なので、次のとおり。
tykkää → tykkään
3)映画が
フィンランド語で「映画」は elokuva(エロクヴァ)。
それではさきほど作った tykkään と組み合わせて tykkään elokuva でよいのか?と思いますが、もう一仕事待っています。
フィンランド語では動詞 tykätä の目的語は「出格」という形をとります。
「出格」というのは「〜から」を意味する格変化。無理に日本語にすれば「私は映画から好きだ」のような形になるということなんですね。
「出格」は elokuva に[-sta]という格語尾をくっつけて作ります。その際にチェックする項目は下記の二点。
もとの単語が[-i][-e]、子音のいずれかで終わっているか。
→[-a]で終わっているので該当しない。
最後の音節に[k, p, t]が含まれているか。
→[-va]なので含まれていない。
もし上記に該当していれば改めて語形変化を考える必要がありますが、今回は該当しないので単に[ -sta]を付けておきましょう。
[主格]elokuva(映画)
→[出格]elokuvasta(映画から)
そしてついに以下の文が完成!
Tykkään elokuvasta.(私は映画が好きです。)
文と言っても、たったの2語じゃないか!と思われるかもしれませんが、書き出してみるとなかなか大変な作業です。
このプロセスを0.2秒くらいで処理できるようになれば、フィンランド語がペラペラになるのかもしれません。ふう。